君がため 24
大内裏へとむかい、帝がおわす間へと向かう。
ラディッツはナエに付き添ってもらい、ゆっくりと入る。いつぶりであろうかここへときたのは、忠勤に励むあまり記憶がぼんやりとしているようだ。
ラディッツはゆっくりと座を正して、頭を下げる。
「おもてをあげろ」低く、毒花のような声が聞こえてくる……黒王のだ。これが、あの大伯父カリグラが政務で争った相手、ゆっくりと顔をあげてみれば皇嵐と似た顔立ちの男がそこにいた。
こんなに見る機会がないゆえ気づかなかったが、やはり黒王は皇嵐とどこかにているその透き通りすぎたような白い肌も赤い瞳も。
「(大伯父と違い、こちらの方が紅玉みたいだな)ははっ」彼ひとりをあらわす言葉遊びで歌でも作れそうな雰囲気ではないか。
ラディッツはゆっくりと顔をあげて彼と向き直る、黒王はその鋭くも気高い龍王のような赤い瞳を細めてラディッツをみる。
「(見られるだけでも心臓が潰されそうだな……っ)」ラディッツは内心ビクビクしながらも姿勢を崩さない、本当にあの大伯父はあんなに泰然自若としていたのに存外喧嘩っ早いところでもあるのだろうか?。
ナエの方は慣れたように頭を下げているが、本当どこにそんな鋼のような心臓があるのだと聞き返したいほど。
こちらへと来る前にナエに啖呵を切ったとはいえ冷や汗は出そうになっている、今の今までの貴族や武士とは違うのだから。
「はっ……、カリグラの親戚のものか?顔つきは似ているとは言え……その姿勢弁えておるか」軽快な扇の音が聞こえてくる、黒王は自分を品定めするように顔を見てきて口角をあげる。
「此度、我が縁のカリーたちにいわれそなたを内大臣にあげたが……カリグラのように調子に乗るでないぞ?」その黒王の言葉に途端ラディッツは心臓に槍が突き刺されたような感覚を感じる、コレは一言間違えれば打ち首だ。
せっかくここまで来たのに、ああ……まだ彼女を手に入れてないと言うのに。これは生存戦だ、カリグラのように真っ向からこの男に喧嘩を売ったり戦おうと思わない。
「……もとより、そのことはわきまえております。私めがやれることなんぞ……帝に承りし役目を果たすのみ」
「此度は誠に有り難き幸せでございます、……帝の権威今後も日輪のごとく輝くようにお勤め励みますれば」ここは下手に出なくてはならない、この男……黒王は己の権威をプライドに土をかけられるのを極度に嫌うのだから。
何も持たぬ、『新月』の自分は彼を輝かせるように下手に動くのだ。そう、手に入れたい花のためにも。
「……先の関白カリグラのようにはいかぬと思いますが、よろしくお願いいたします」
下手に出たのが幸をなしたのか黒王は己に領地も分け与えてくれた、ナエもホッとしたように一息ついて共に屋敷へと牛車でもどる。
「いやはや、カリグラさまよりはるかに良かったですよラディッツさま」
「はっ、今さら惜しむ頭もない。やれることは徹底的にやるぞ?」ラディッツは窓から見える夕焼けの景色を眺めながらナエにそうかえす。
「……今の俺が帝にかなうわけがない、力を得るためにも上手くお互いをつかうのみさ」
「そうですね、あの破天荒のカリグラさまにも下手に出るというものを覚えてもらいたいものですよ」ナエのその言葉に皮肉なようで実は己を褒めてくれていることがわかり、思わず笑みがこぼれる。
己の主であるカリグラにそのような物言いをするかと。
「っはは!、たしかにな。……だがナエがんがいてくれたおかげでやれたぞ、感謝する」
闇の夜は 苦しきものを いつしかと 我が待つ月も 早 (はや)も照らぬか
真っ暗な夜は悲しいものですよ。いつ出てくれるであろうかと待ってる月、早く出てきてください。
ラディッツはナエに付き添ってもらい、ゆっくりと入る。いつぶりであろうかここへときたのは、忠勤に励むあまり記憶がぼんやりとしているようだ。
ラディッツはゆっくりと座を正して、頭を下げる。
「おもてをあげろ」低く、毒花のような声が聞こえてくる……黒王のだ。これが、あの大伯父カリグラが政務で争った相手、ゆっくりと顔をあげてみれば皇嵐と似た顔立ちの男がそこにいた。
こんなに見る機会がないゆえ気づかなかったが、やはり黒王は皇嵐とどこかにているその透き通りすぎたような白い肌も赤い瞳も。
「(大伯父と違い、こちらの方が紅玉みたいだな)ははっ」彼ひとりをあらわす言葉遊びで歌でも作れそうな雰囲気ではないか。
ラディッツはゆっくりと顔をあげて彼と向き直る、黒王はその鋭くも気高い龍王のような赤い瞳を細めてラディッツをみる。
「(見られるだけでも心臓が潰されそうだな……っ)」ラディッツは内心ビクビクしながらも姿勢を崩さない、本当にあの大伯父はあんなに泰然自若としていたのに存外喧嘩っ早いところでもあるのだろうか?。
ナエの方は慣れたように頭を下げているが、本当どこにそんな鋼のような心臓があるのだと聞き返したいほど。
こちらへと来る前にナエに啖呵を切ったとはいえ冷や汗は出そうになっている、今の今までの貴族や武士とは違うのだから。
「はっ……、カリグラの親戚のものか?顔つきは似ているとは言え……その姿勢弁えておるか」軽快な扇の音が聞こえてくる、黒王は自分を品定めするように顔を見てきて口角をあげる。
「此度、我が縁のカリーたちにいわれそなたを内大臣にあげたが……カリグラのように調子に乗るでないぞ?」その黒王の言葉に途端ラディッツは心臓に槍が突き刺されたような感覚を感じる、コレは一言間違えれば打ち首だ。
せっかくここまで来たのに、ああ……まだ彼女を手に入れてないと言うのに。これは生存戦だ、カリグラのように真っ向からこの男に喧嘩を売ったり戦おうと思わない。
「……もとより、そのことはわきまえております。私めがやれることなんぞ……帝に承りし役目を果たすのみ」
「此度は誠に有り難き幸せでございます、……帝の権威今後も日輪のごとく輝くようにお勤め励みますれば」ここは下手に出なくてはならない、この男……黒王は己の権威をプライドに土をかけられるのを極度に嫌うのだから。
何も持たぬ、『新月』の自分は彼を輝かせるように下手に動くのだ。そう、手に入れたい花のためにも。
「……先の関白カリグラのようにはいかぬと思いますが、よろしくお願いいたします」
下手に出たのが幸をなしたのか黒王は己に領地も分け与えてくれた、ナエもホッとしたように一息ついて共に屋敷へと牛車でもどる。
「いやはや、カリグラさまよりはるかに良かったですよラディッツさま」
「はっ、今さら惜しむ頭もない。やれることは徹底的にやるぞ?」ラディッツは窓から見える夕焼けの景色を眺めながらナエにそうかえす。
「……今の俺が帝にかなうわけがない、力を得るためにも上手くお互いをつかうのみさ」
「そうですね、あの破天荒のカリグラさまにも下手に出るというものを覚えてもらいたいものですよ」ナエのその言葉に皮肉なようで実は己を褒めてくれていることがわかり、思わず笑みがこぼれる。
己の主であるカリグラにそのような物言いをするかと。
「っはは!、たしかにな。……だがナエがんがいてくれたおかげでやれたぞ、感謝する」
闇の夜は 苦しきものを いつしかと 我が待つ月も 早 (はや)も照らぬか
真っ暗な夜は悲しいものですよ。いつ出てくれるであろうかと待ってる月、早く出てきてください。
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