君がため 20
一晩語り合い、この一時の間だけでもとラディッツは彼女を抱きしめた。これ以上のことは求めない、ただ…少しの間だけでも彼女という命の灯の暖かさを噛み締めたいとだ。
お許しを、といいふれて皇嵐も自分のことを抱きしめてくれる。山桜の匂いが鼻に届き心地いい。
「……ああ、この時間が長くつづけば良いのに…」さらら、ゆらら…と夜風が流れる。白檀や沈香の匂いより落ち着く皇嵐の香り、月あかりがひっそりとふたりを映し出す。
お香から儚く揺れる煙のような声を出しながらラディッツは皇嵐の白藤のような手を撫でる。
皇嵐も彼に寄りかかりながらそうね…、と鈴の声でつぶやいた。
「わたしもよ…」
「…こんなおばさんに恋するなんて……」
「……あなたは、そういうものでも無い。本当に…天上の花のようなお人だ」
「…そう、かしら」ぎゅっ………と互いに手を握り、くっつき合う。
「…ねえ、ラディッツ……」
「…なんでしょうか……? 」
「私、待つわ……。あなたと共に暮らせる日のことを」
「…姫……」ああもう、この人は待ってくれようとしているのか。こんなにくっついてくれて、しかも期待をしてくれている。
誰も自分に期待をすることなんぞなかった、いやあの大伯父が唯一してくれていたのかもしれない。なのに…皇嵐は、身内でもないのに期待していると話してくれたのだ。
自分がより高みへときて、迎えへと来てくれることを。
「……わかりました、絶対あなたをむかえにいきましょう」そこからはもう自然な流れだった、互いに口を重ねて誓いの言葉を身体の奥底へと閉じ込めたのは。
ああ、もう少しで夜が終わる……自分とこの姫の夜が。柔らかい唇だった、仙桃のような味を持ち優しくも蠱惑的な感触だ。
目を蕩けさせながら皇嵐も自分に口付けてくる。
「……これで、一度お別れね……」
「…ええ」でもまた、会いましょう。川が岩で別れてもまた会えるように。
瀬を早み岩にせかるるたきがわの 別れても末にあはむとぞおもふ
「…貴女様と必ず出逢い、迎えに行きます」もう、これからの生き方は決めた。ただ憧れて遠くから見つめるのはもうやめた、あなたのそばで愛をはぐくみ育てていくと決めたのだから。
──皮肉だ、避けていたそして苦手だった大伯父と同じ道を歩むことになりそうなのだから。
早朝、皇嵐といた部屋から別々に廊下へと出て歩いた。朝焼けが眩しくて思わず目を細める。
「……眩しいな…」だが悪くない、ほくそ笑んで歩いていくとカリーがよっと狩衣の姿で声をかけてくる。
「おはようさん、ラディッツ」
「……ああ、待っていたのか」
「まぁね、皇嵐に会ってどうなってるかなぁと思ったけど……良さそうでよかったわ。めし、くっていかないか?」話を聞きたいし、とカリーは言っててまねきをする。
ラディッツはその姿に多少話してもよかろうとおもい、一息ついて行こうと話した。
「…お前とは、久しぶりだからな」カリーはこれでも皇族の生まれだ。そのため屋敷も豪華で朝食もまぁ豪華なものだ。
こんな朝から海鮮のものが…おまけに新鮮、ラディッツは少し驚きながら焼き魚の身をほぐして食べていく。
三口目といこうとしたときにラディッツに、なぁとカリーが声かける。
「…皇嵐とは、どうだった?」
「……良かった、俺のことも話せれた。姫様が…俺のことをどう見てるかも」
「なるほどね、あいつ中々にお前のこと惚れてたぞ?。心、ここに在らずな時もあったらしいし」
「…そう、か」
「お前は和歌のセンスもある、言葉選びもうまい。もう心はガッツリ!掴まれてたな!!」上手くいったなら良かった、良かった!と言いながらカリーはいつの間にか食べ終えた白米のおかわりを申し付ける。
ラディッツも食べ終え、続いて頼めばニヤニヤとしたカリーがこちらを見てきていた。
「…まっ、皇嵐との逢瀬はちょいっと進んだってわけだ。これからどうする?」
「…大伯父の、家の家督を継ぐ準備をしようと思う」
「………ま???」なんだと、とカリーはラディッツの顔を見て聞き返す。どうしてだ、なぜ…と。
ラディッツは大伯父の本家のことを避けていた、バーダックから話を聞きラディッツが下手したらカリグラの養子になるということは聞いたこともある。だがラディッツは自分はふさわしくないといい、断っていた。
カリグラが消息不明となったときもだ、それゆえカリグラの屋敷は今我が祖父でありカリグラの側近であったナエが管理をしている。
家に関してもだ、帝から滅ぼせと言われたがナエが上手いこと彼にいいのこしている。
「……あっ、あの本家を継ぐっての?」
「…覚悟を決めた、もちろん直ぐにとは言わん。まず内政がわにまわることからはじまる」
「…俺が奴らを認めさせてから、……大伯父の
カリグラの跡を継ぐ。そのためにも色々と協力を頼みたい、カリー」箸を置き、ラディッツはカリーへと頭を深く下げた。今まで現場でしか生きてこなかった自分が内政の鬼たちと渡り合えるかと言われたら不安だ。
だからここは、現場も内政のことも知っているカリーに頼りたいと考えた。手っ取り早く経験値を積むためにもだ。
まさかの下げられた頭にカリーはごくり、と固唾を飲み込み仕方ねえなとぼやく。
「……わーったよ、俺が…お前を支えてやるよラディッツ」
「数すくねえ幼馴染だ、やってやるよ」
「…感謝するカリー」
瀬を早み岩にせかるるたきがわの 別れても末にあはむとぞおもふ
川の瀬の流れが速く、岩にせき止められた急流が2つに分かれる。しかしまた1つになるように、愛しいあの人と今は分かれても、いつかはきっと再会しようと思っている。
お許しを、といいふれて皇嵐も自分のことを抱きしめてくれる。山桜の匂いが鼻に届き心地いい。
「……ああ、この時間が長くつづけば良いのに…」さらら、ゆらら…と夜風が流れる。白檀や沈香の匂いより落ち着く皇嵐の香り、月あかりがひっそりとふたりを映し出す。
お香から儚く揺れる煙のような声を出しながらラディッツは皇嵐の白藤のような手を撫でる。
皇嵐も彼に寄りかかりながらそうね…、と鈴の声でつぶやいた。
「わたしもよ…」
「…こんなおばさんに恋するなんて……」
「……あなたは、そういうものでも無い。本当に…天上の花のようなお人だ」
「…そう、かしら」ぎゅっ………と互いに手を握り、くっつき合う。
「…ねえ、ラディッツ……」
「…なんでしょうか……? 」
「私、待つわ……。あなたと共に暮らせる日のことを」
「…姫……」ああもう、この人は待ってくれようとしているのか。こんなにくっついてくれて、しかも期待をしてくれている。
誰も自分に期待をすることなんぞなかった、いやあの大伯父が唯一してくれていたのかもしれない。なのに…皇嵐は、身内でもないのに期待していると話してくれたのだ。
自分がより高みへときて、迎えへと来てくれることを。
「……わかりました、絶対あなたをむかえにいきましょう」そこからはもう自然な流れだった、互いに口を重ねて誓いの言葉を身体の奥底へと閉じ込めたのは。
ああ、もう少しで夜が終わる……自分とこの姫の夜が。柔らかい唇だった、仙桃のような味を持ち優しくも蠱惑的な感触だ。
目を蕩けさせながら皇嵐も自分に口付けてくる。
「……これで、一度お別れね……」
「…ええ」でもまた、会いましょう。川が岩で別れてもまた会えるように。
瀬を早み岩にせかるるたきがわの 別れても末にあはむとぞおもふ
「…貴女様と必ず出逢い、迎えに行きます」もう、これからの生き方は決めた。ただ憧れて遠くから見つめるのはもうやめた、あなたのそばで愛をはぐくみ育てていくと決めたのだから。
──皮肉だ、避けていたそして苦手だった大伯父と同じ道を歩むことになりそうなのだから。
早朝、皇嵐といた部屋から別々に廊下へと出て歩いた。朝焼けが眩しくて思わず目を細める。
「……眩しいな…」だが悪くない、ほくそ笑んで歩いていくとカリーがよっと狩衣の姿で声をかけてくる。
「おはようさん、ラディッツ」
「……ああ、待っていたのか」
「まぁね、皇嵐に会ってどうなってるかなぁと思ったけど……良さそうでよかったわ。めし、くっていかないか?」話を聞きたいし、とカリーは言っててまねきをする。
ラディッツはその姿に多少話してもよかろうとおもい、一息ついて行こうと話した。
「…お前とは、久しぶりだからな」カリーはこれでも皇族の生まれだ。そのため屋敷も豪華で朝食もまぁ豪華なものだ。
こんな朝から海鮮のものが…おまけに新鮮、ラディッツは少し驚きながら焼き魚の身をほぐして食べていく。
三口目といこうとしたときにラディッツに、なぁとカリーが声かける。
「…皇嵐とは、どうだった?」
「……良かった、俺のことも話せれた。姫様が…俺のことをどう見てるかも」
「なるほどね、あいつ中々にお前のこと惚れてたぞ?。心、ここに在らずな時もあったらしいし」
「…そう、か」
「お前は和歌のセンスもある、言葉選びもうまい。もう心はガッツリ!掴まれてたな!!」上手くいったなら良かった、良かった!と言いながらカリーはいつの間にか食べ終えた白米のおかわりを申し付ける。
ラディッツも食べ終え、続いて頼めばニヤニヤとしたカリーがこちらを見てきていた。
「…まっ、皇嵐との逢瀬はちょいっと進んだってわけだ。これからどうする?」
「…大伯父の、家の家督を継ぐ準備をしようと思う」
「………ま???」なんだと、とカリーはラディッツの顔を見て聞き返す。どうしてだ、なぜ…と。
ラディッツは大伯父の本家のことを避けていた、バーダックから話を聞きラディッツが下手したらカリグラの養子になるということは聞いたこともある。だがラディッツは自分はふさわしくないといい、断っていた。
カリグラが消息不明となったときもだ、それゆえカリグラの屋敷は今我が祖父でありカリグラの側近であったナエが管理をしている。
家に関してもだ、帝から滅ぼせと言われたがナエが上手いこと彼にいいのこしている。
「……あっ、あの本家を継ぐっての?」
「…覚悟を決めた、もちろん直ぐにとは言わん。まず内政がわにまわることからはじまる」
「…俺が奴らを認めさせてから、……大伯父の
カリグラの跡を継ぐ。そのためにも色々と協力を頼みたい、カリー」箸を置き、ラディッツはカリーへと頭を深く下げた。今まで現場でしか生きてこなかった自分が内政の鬼たちと渡り合えるかと言われたら不安だ。
だからここは、現場も内政のことも知っているカリーに頼りたいと考えた。手っ取り早く経験値を積むためにもだ。
まさかの下げられた頭にカリーはごくり、と固唾を飲み込み仕方ねえなとぼやく。
「……わーったよ、俺が…お前を支えてやるよラディッツ」
「数すくねえ幼馴染だ、やってやるよ」
「…感謝するカリー」
瀬を早み岩にせかるるたきがわの 別れても末にあはむとぞおもふ
川の瀬の流れが速く、岩にせき止められた急流が2つに分かれる。しかしまた1つになるように、愛しいあの人と今は分かれても、いつかはきっと再会しようと思っている。
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