君がため 13

※平安パロ

「おーーす!、ラディッツきたか!!」歌合前日カリーの屋敷へと呼び出されたラディッツは狩衣を着て彼の所へと赴いた。
久しぶりのメンツというか、そこにはターレスまでもいてどうやらカリーは思い出話に花咲かせようと幼なじみをよんだようだ。
「先日ぶりだな、ラディッツ」
「ああ…、だがいいのか?。仮にも皇族のやつのとこに俺が来て」
「いいっていいって!、久しぶりに俺がお前らと酒飲みたくてだからさ!!」
「って、こんな調子で語ってやがるから大丈夫さ」
「相変わらず振り回されてるなターレス」屋敷の廊下を歩き、白椿や白梅の花そして白木蓮……白を基調とした花々の庭を眺める。
「(こう見ると皇嵐に似た雰囲気を持つなカリーも)」白銀の髪をサラリと流し歩く姿…、スラリとした姿勢…白百合のような雰囲気。たしか彼女と彼は叔母と甥の間柄だったなと思い出す。それ故にだろうか似てるのは、へへっと笑う姿や相手を見る優しい瞳など花の香りのようにどこかにおわせる。
「そうそう!、俺さラディッツに歌合の時にきてもらいてぇのあってよ」カリーの部屋へと入る前にくるりと彼は自分に向き直り、話してきた。その目はどこか幼子が新しくおもちゃを見つけたような雰囲気を持ち、ラディッツは苦笑いを浮かべて何をやる気だとためいきをつく。
こういう時のこいつは変なものを持ってくる、以前は
『見ろ見ろー!イカみてぇにうねうねしてるだろ!?これ!』と新種の植物かなんなのかうぞうぞとうごくものをもってきたりして大変だった。 またそういう類のでもか??とラディッツは思うとちげぇよ!とへやにはいりカリーはある衣装をだす。
「こいつ!、…ちょっっとある人のものをな」そこにあるものにラディッツは衝撃を受け、身体に電撃が走るような感覚を覚えた。
「カリーッ…お前っ、これをどこで!?」
「…俺が幼い頃譲り受けたんだよ、いざと言う時にと。いやーねだりにねだってさ、大きさは今の俺には少しちいせえしチョイっとお前にはいいかなと


お前の大伯父カリグラ様が着てたやつさ」確かにそこにあるものは自分のより少し大きいくらいのだ。黒の束帯に曼珠沙華の花、袴にもあしらわれ厳かでありながらも人の目を奪うほどに美しいものだ。
「…ッだが色としても」そう着るものには位も関係する、確かに自分は本家として関白たる大伯父がいるが家の位としてはそこまで高くはないのだ。
「構わねえさ、お前もちょうどギリくらいなとこではあるし。この歌合で…お前の存在を刻んでくれよどうかは分からねえけどあのお人もしかしたらお前に着せるために俺に渡したかもしれないのだから」なんという鮮烈な赤と黒…朧気だった大伯父の姿がこの衣装のせいかはっきりと思い出させられる。
麒麟のような神々しさ、覇者たる毅然とした姿勢。今まで自分の中では英雄のようになっていた父バーダックすら霞むほどの存在感と聡明たる目付き。そんな大伯父の衣服を自分が…?、畏れ多くもあり同時に彼のようになれる訳でもないのになぜと。
「…随分と派手なやつだな、だが今回の歌合にはいいやつか?」
「だろだろ!、どうせみんな俺に焼きつかせるためにとめかしこんでくっさ。贔屓、ってもんになるかもしれねえが……俺はお前にこれ着てもらいてえんだよ皇嵐の目にもつくのにはいいだろ?」
「っ、あの姫のか?」
「ああ、あいつは御簾ごしになっちまうし存在感を際立てさせて目につかせるってのでもよ」
「…なるほどな、一度袖を通してみたらどうだ?。ラディッツ」
「そうそう、厳重に保管してたとはいえなにあっかわかんねえし」カリーは家来たちを呼び出させ、ラディッツに着せるようにと指示を出した。
「畏まりました」
「丁寧にやれよ!、それ俺の憧れの人のもんだから!!」
「おっ、おいカリー!。俺はまだ着るとはっ」
「いーっから!、はよ着替えてこい!!」ずるずるとご家来衆に引っ張られるラディッツをみながらカリーとターレスはくすくすとわらう。
「…それにしても、お前もいいもんを持ってたなカリー」
「なぁーに、俺の祖父がカリグラ様に仕えてたからな」今じゃ隠居したお人だけど、とカリーは目を細める。
「爺さんも…、あいつの背格好みてまた政界に戻る気になれたらいいと思ったんだよ」
「ナエ様のか?」
「そうそう、カリグラ様が消えて…やるきをなくされたのかあっさりとね」祖父ナエはそれ以来、隠れの屋敷に隠居して絵を描いたり盆栽を手入れしたりとしはじめていた。
共に宴会に行かないか、と誘っても『あの方が居ないところに未練は無い』と言い断るのだ。
祖母と共に慎まやかに暮らしてるとはいえ、カリーとしては唯一カリグラの傍に付き添ったものとして今の政治に手を貸してほしいと思ったものだ。そういうのもあり、バーダックから聞いたカリグラが唯一己の跡継ぎにと指名したラディッツを出したらどうなるのかとみてみたいとなったのだ。
「なるほど、その祖父のや叔母の含めてと……」
「そういうこと!、母さんも爺さんには政界復帰して欲しいと言ってたからさ!!」
「はぁ、世話焼きだな相変わらずあんたは」ターレスのいつものやつか、とため息を着く動作にカリーはえへへと笑う。
「そうやって付き合ってくれるお前のことも好きだぜ、ターレス」
「どうも…、着替え終えたらしいな…」密かに聞こえていく足音にターレスはぴくりと反応してその出てくる姿に目を奪われて口を開く。
カリーもなになに!、とみて見惚れてしまう…細かいとこをいえば違う。だがラディッツのその姿はスラリと立つ姿勢そして奥底に覇気を潜める雰囲気…そっくりだかつて自分にこの衣を渡してきたカリグラに。
『…いつか、お前が必要だと思った時に』ああ貴方様の言う通り今であったよ。検非違使のでは分からなかったラディッツの底にある気品、それが引き出されまさに1級品の花瓶に生けられた高級な花だ。
「…これ、合うのか?」そういう本人は自信なさげだがとんでもない、皇太子や下手すれば帝とも引けを取らない様なのだ。
「似合いすぎてるぜ…!、ラディッツ!!。やっぱお前検非違使とかそういうのにしておくのもったいねえよ!!!」
「ああ、あまりにもあいすぎて驚いたぜラディッツ」
「はあ?、なんだ。そんなにばしばしとほめやがって!!」
「これなら皇嵐も驚くこと間違いナシだぜっ!、よっっしゃ気合い入れの宴会だー!!」
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