君がため 9
※平安時代?パロ
とても美しくだが凛々しく気高いお方だった。
今思えば、己の警護としてつくラディッツという男は彼にそっくりだ…。だが、あのお人は我が伯父の帝よりも壮麗で満ちた月の如く完成された美を持っていた。
今より幼き頃、琴を鳴らし終えて自室でふぅと一息ついた頃パチパチと拍手の音が聞こえてきた。
「これはこれは……とても素晴らしい音色だ、湖にいる鶴の一声も及ばない…お見事」
「あなたは…」金糸に彩られた黒の狩衣、足の袴には曼珠沙華が咲いておりみごとな赤のつくりをみせた。
「…お久しぶりです、とは言っても覚えてはおられませぬか?」
「いいえ、覚えてるわ……カリグラ」かつてみた姿とは違う、それこそ初めて会った頃彼はラディッツとおなじく警護の者をしていた。だが、出会った頃は彼とは違い取りまとめのものをしており鋭き眼光で周りを威圧していた。
今目の前にいるカリグラはどこか穏やかな雰囲気を持っており、あの頃のものとは別人のよう。
あの武人が今では政治の中枢を支配し、動かしているとは世の中分からぬものだ。
「カリグラ、入りなさいな。今回は特別よ」
「…お言葉に甘えて」するり、と入ってきていま彼と自分を企てるのは薄い御簾のみ。さらさらと風が流れ、この世界は己と彼のみと伝えているよう。
「いけないお人だ、…男を入れるとはな」
「そうかしら?、あなたは風流なお人……恋のやり方くらいわかるでしょ」
「っくくははは!、面白い……だがさすがの俺もあなたのようなお人には手を出せない」幼き女の自分に彼は唯一一人の大人として接してきてくれた。傍から見れば気味悪い光景で、自分もなんだこの人はとなるかと思っていたが不思議と落ち着いて彼とは話せた。
カリグラ本人の人柄なのか、彼には色々と話せれると感じたからだ。
「…そうね…、でも私はこのいまの身分は落ち着かないわ。どうせなら私は、この鳥かごから出て外を見て回りたい」春の景色や様々な季節を見れても、本当の外にある光景を見てみたい。自分の視野には収まらないほどの生命の広がりを。
鳥の鳴き声、虫の羽音、動物たちの生活…様々なものが見たい知りたい。物語なんかではなく、本当の命の輝きそのものを。
「恋だってしたいわ、自分が見て惚れた相手と」ちゃんと話を重ねて、相手を知りその上で恋をしてみたい。物語の方々がしたような熱烈なものでも、穏やかで木の年輪のように積み重ねるものでも。
「…そうですか」
「ならば、姫様…俺と少し出かけませんか?」
「出かけ?、そんな……私のは夢よここで「では夢を見ましょう」!?」する、と御簾をひらき純黒の髪が揺れ己を包む赤い瞳が自分を見て暖かく抱きしめられた。
「か、カリグラ…!?」
「少しの間ですよ……昼の微睡みとも思えばいい」ふわり、と体に浮遊感が出る。何、と思えば体が宙にうき浮雲が目の前に見えるほどの高さまで飛ぶ。
「カリグラ、これは何?!」なんで、えっなぜ空を飛べる??と混乱していると相手はくすくすと笑いちょっとした力だと答えてきた。
「…契約した悪魔との力ですよ、色々と能力を持っていて便利で」
「もしかして、その角と目は…」彼の雰囲気に圧倒されて話さずにいたがそういえば、前の黒い目が片方にしかない。そして、角も。龍のような……彼の人ならざる雰囲気に合いすぎていて話のタネとしてもでなかった。
「ええ、遠方で見つけたもので。…ほら姫様」ふわり、と優しく地へと足がつく。そこは様々な花が咲き彩られふわりと花弁がまい香りを届けてきた。
「綺麗…」こんなの絵画でしか見たことがない。
「…あなたが好きそうだと思って、見つけておいたところですよ」彼の白檀のお香の匂いと花の香りが混ざり合いこれが極楽なのかと錯覚してしまう。それほどにここの花々と彼はあい、魅了された。
皇嵐の着物もサラサラと揺れ、花を彩る。
「…ほんと、気遣いの上手いお方なのね。たくさんのお姫様が貴方と結婚したそうにするわよ?」
「……あなたとなら、してみたいものですがね」
「え」
「…戯言ですよ、こんなじじいとはお嫌でしょ」するり、と花がひとつ頭に飾られる。白く美しい山百合の花。
「高貴な品性をお持ちの姫ならば、ご立派な方を見つけられることでしょう。だがもし、あなたが俺を選ばれたら……幸せにしましょう全てをかけて」低く歌のように響く、幼い姫に重い想いをぶつける黒き貴人。
皇嵐は顔を赤くそめ、何を言ってるのと顔をそらす。真剣に言う彼の姿にドキドキと胸を高鳴らせてしまったのだ。
山百合の香りが当たりを包み、禁断の逢瀬を重ねるふたりを守り込むようだ。
あの光景を忘れられない、赤い花とサラサラと揺れる彼の長髪……見とれていた。見惚れてしまった。今思うと、あの時己は彼に恋をしてしまっていた。彼となら、とおもってしまったのだ。黒く気高い、黒金剛石の光を持つカリグラに。
「…今はどうされてるのかしら…」あれから時が流れて、今ではすっかり自分も大人となった。それなりに歳を重ね、カリグラのような男がそうそういないと気づいてしまった。
彼は忽然と姿を消した、それによりあの家は古き家そしておちた。だが、彼の甥バーダックがある程度立ち直らせその息子のラディッツは今自分の所へといる。
まさか、彼がラディッツの大伯父とは…。
「あなたは、どうなるのかしらね……もしこの名無しの君が」あなたなら、私の恋はどうなるのかしら。思わざるを得なかった、そして自分の初恋の満月の君に淡い想いを。
枕だに 知らねば言はじ 見しままに 君かたるなよ 春の夜の夢
とても美しくだが凛々しく気高いお方だった。
今思えば、己の警護としてつくラディッツという男は彼にそっくりだ…。だが、あのお人は我が伯父の帝よりも壮麗で満ちた月の如く完成された美を持っていた。
今より幼き頃、琴を鳴らし終えて自室でふぅと一息ついた頃パチパチと拍手の音が聞こえてきた。
「これはこれは……とても素晴らしい音色だ、湖にいる鶴の一声も及ばない…お見事」
「あなたは…」金糸に彩られた黒の狩衣、足の袴には曼珠沙華が咲いておりみごとな赤のつくりをみせた。
「…お久しぶりです、とは言っても覚えてはおられませぬか?」
「いいえ、覚えてるわ……カリグラ」かつてみた姿とは違う、それこそ初めて会った頃彼はラディッツとおなじく警護の者をしていた。だが、出会った頃は彼とは違い取りまとめのものをしており鋭き眼光で周りを威圧していた。
今目の前にいるカリグラはどこか穏やかな雰囲気を持っており、あの頃のものとは別人のよう。
あの武人が今では政治の中枢を支配し、動かしているとは世の中分からぬものだ。
「カリグラ、入りなさいな。今回は特別よ」
「…お言葉に甘えて」するり、と入ってきていま彼と自分を企てるのは薄い御簾のみ。さらさらと風が流れ、この世界は己と彼のみと伝えているよう。
「いけないお人だ、…男を入れるとはな」
「そうかしら?、あなたは風流なお人……恋のやり方くらいわかるでしょ」
「っくくははは!、面白い……だがさすがの俺もあなたのようなお人には手を出せない」幼き女の自分に彼は唯一一人の大人として接してきてくれた。傍から見れば気味悪い光景で、自分もなんだこの人はとなるかと思っていたが不思議と落ち着いて彼とは話せた。
カリグラ本人の人柄なのか、彼には色々と話せれると感じたからだ。
「…そうね…、でも私はこのいまの身分は落ち着かないわ。どうせなら私は、この鳥かごから出て外を見て回りたい」春の景色や様々な季節を見れても、本当の外にある光景を見てみたい。自分の視野には収まらないほどの生命の広がりを。
鳥の鳴き声、虫の羽音、動物たちの生活…様々なものが見たい知りたい。物語なんかではなく、本当の命の輝きそのものを。
「恋だってしたいわ、自分が見て惚れた相手と」ちゃんと話を重ねて、相手を知りその上で恋をしてみたい。物語の方々がしたような熱烈なものでも、穏やかで木の年輪のように積み重ねるものでも。
「…そうですか」
「ならば、姫様…俺と少し出かけませんか?」
「出かけ?、そんな……私のは夢よここで「では夢を見ましょう」!?」する、と御簾をひらき純黒の髪が揺れ己を包む赤い瞳が自分を見て暖かく抱きしめられた。
「か、カリグラ…!?」
「少しの間ですよ……昼の微睡みとも思えばいい」ふわり、と体に浮遊感が出る。何、と思えば体が宙にうき浮雲が目の前に見えるほどの高さまで飛ぶ。
「カリグラ、これは何?!」なんで、えっなぜ空を飛べる??と混乱していると相手はくすくすと笑いちょっとした力だと答えてきた。
「…契約した悪魔との力ですよ、色々と能力を持っていて便利で」
「もしかして、その角と目は…」彼の雰囲気に圧倒されて話さずにいたがそういえば、前の黒い目が片方にしかない。そして、角も。龍のような……彼の人ならざる雰囲気に合いすぎていて話のタネとしてもでなかった。
「ええ、遠方で見つけたもので。…ほら姫様」ふわり、と優しく地へと足がつく。そこは様々な花が咲き彩られふわりと花弁がまい香りを届けてきた。
「綺麗…」こんなの絵画でしか見たことがない。
「…あなたが好きそうだと思って、見つけておいたところですよ」彼の白檀のお香の匂いと花の香りが混ざり合いこれが極楽なのかと錯覚してしまう。それほどにここの花々と彼はあい、魅了された。
皇嵐の着物もサラサラと揺れ、花を彩る。
「…ほんと、気遣いの上手いお方なのね。たくさんのお姫様が貴方と結婚したそうにするわよ?」
「……あなたとなら、してみたいものですがね」
「え」
「…戯言ですよ、こんなじじいとはお嫌でしょ」するり、と花がひとつ頭に飾られる。白く美しい山百合の花。
「高貴な品性をお持ちの姫ならば、ご立派な方を見つけられることでしょう。だがもし、あなたが俺を選ばれたら……幸せにしましょう全てをかけて」低く歌のように響く、幼い姫に重い想いをぶつける黒き貴人。
皇嵐は顔を赤くそめ、何を言ってるのと顔をそらす。真剣に言う彼の姿にドキドキと胸を高鳴らせてしまったのだ。
山百合の香りが当たりを包み、禁断の逢瀬を重ねるふたりを守り込むようだ。
あの光景を忘れられない、赤い花とサラサラと揺れる彼の長髪……見とれていた。見惚れてしまった。今思うと、あの時己は彼に恋をしてしまっていた。彼となら、とおもってしまったのだ。黒く気高い、黒金剛石の光を持つカリグラに。
「…今はどうされてるのかしら…」あれから時が流れて、今ではすっかり自分も大人となった。それなりに歳を重ね、カリグラのような男がそうそういないと気づいてしまった。
彼は忽然と姿を消した、それによりあの家は古き家そしておちた。だが、彼の甥バーダックがある程度立ち直らせその息子のラディッツは今自分の所へといる。
まさか、彼がラディッツの大伯父とは…。
「あなたは、どうなるのかしらね……もしこの名無しの君が」あなたなら、私の恋はどうなるのかしら。思わざるを得なかった、そして自分の初恋の満月の君に淡い想いを。
枕だに 知らねば言はじ 見しままに 君かたるなよ 春の夜の夢
