星に願いを

「あっ、そう言えばもうそろそろで七夕ですね……」ふと知り合いの悪魔がポツリと話してきた。
「七夕ぁ?、なんだそれ。」
「俺様の故郷であったまぁ行事ですよ、ざっくり言うと…一年に一度しか会えなくなった恋人たちが出会ってイチャつくような日です。それに習って、俺様の故郷ではまあ願い事を願ったり飯を食って宴会するって感じで。」人間がよくやる願掛けですよ、と淡々と語ってきた。
「星に願い事をするって感じで、天の川があるじゃないっすか俺様の故郷からは7月7日にめちゃくちゃきれいに見えるんですよ。」
「へぇー、俺やターレスは腐るほど見てるけどな。」んな上手く見えねえとこもあるのだな、とカリーは思う。そういえば7月7日…、ターレスとまた遠征の日程ではないか。
丁度いい、天の川もよく見えるエリアだしあれなら験担ぎとしてやってみてもいいかもなとカリーはふと思う。
「てか、一年に一度しか会えねぇとかきちぃなその話」俺だったら寂しくて泣いちゃうわ、とカリーは呟く。それに対して悪魔のやつはあなたはターレスさんが居ないと寂しいでしょ?と話してきた。
「ん?、あーまぁな……あいつがガキの頃からいるし。」歳の差があるとはいえ、ターレスにはあまり感じさせないような大人びたところもある。
サイヤ人としても強く、神精樹の実や何かと新しいことにチャレンジしようとする男だ。カリーはその貪欲さを気に入り彼の幼い頃からヘッドハンティングしてそばにいる。今では唯一無二の親友として共に過し、酒を飲んだり自由きままに過ごしてるものだ。
「…ラディッツのやつは、皇嵐とやりそうだよな。色々と。」
「あの人、意外とそういうの皇嵐様とされるの好きですからねー。カリーさんも少しした息抜きのようにされてみてくださいよ。意外と楽しいかもしれませんよ?。」そう言って、悪魔はクスリと笑いその赤い瞳を妖しく輝かせた。
「…お前って、何人も女落としてそ。」
「さあ?、どうでしょ。」こわいやつ、そう思いながらカリーはタバコに火をつけて吸った。
ー数日後ー
「っあー!、クッッソ。かっったりーーな!!」遠征先の星について早速統治を進め、ある程度支配しターレスとカリーは近くの人気のない山に行き大の字に寝転がる。
「カリーには加減しろ、ってやつばっかりでキツかったか?」ターレスはカリーの横にさり気に座りくくっと面白げに笑う。
「あんま資源もねえとこだし、いい神精樹の実も育ちそうにねえからな!。ぼろにして一から建て直した方がはえぇだろ。」
「そいつは言えてる。」だよな!、とカリーはターレスに同意を求めつつあっと夜空を見る。
天の川がもうでている、そして1等きらめく2つの星がきらきらと自分たちを照らしていた。
「キレーだな」そういえば改めてこうやってゆっくりと見た事ないな、とカリーはふと思い出して言葉をつぶやく。
「…ああ、キレイだな」ターレスはちらりとカリーの目に映る星々を見てポツリと呟いた。
天の川は天の川でも、カリーの瞳に映された夜空の色が何よりも綺麗だ。
彼の紺色のような黒の瞳に彩られる星はそれこそ月の光を宿しキラキラと輝いている。どの宝石よりも、どの光よりも美しく自分の胸を高鳴らせる。静かに無意識に彼の所へ手を伸ばしてしまう。
「あ!、なあなあ願い事しようぜ!!。ほら!、前話してたヤツ!」その時だ、カリーは七夕のことを思い出してターレスの方へ振り向き勢いよく話した。
「前?、タナバタのことか??(こいつ…ほんっっとにムードもへったくれもないな)」そういえばカリーがあいつから聞いた、面白い文化みたいに酒を飲みながら自分に話してきたことを思い出す。
オレはそれよりあんたに触れたいな、と思いつつこたえたが。
「そうそう!、まあだいたい支配し終えたしよ。やらね??。」
「……まぁ、いいぜ。」このノリだ、却下しても『いいじゃねえか~、やろうよターレス!!』とグイグイとくる感じだ。
一体何年、お前と付き合いがあると思ってるんだとためいきをつく。一年に一度の逢瀬…、恋人たちか。
「(いいじゃねえか、オレみたいに意識されてないよりかは)」この思考は一種の妬みかもしれない、告白したいがどうせなら…全てを支配してあいつに相応しくなってから。
ならば、願うのは……
「俺は、美味い酒がターレスたちと大量に飲めますように!だな!!。…またラディッツたちも誘いてぇーな。」ホントこの酒カスは、毎度酒のことしか考えてねえあと戦闘か。
カリーのらしいねがいに少しの頭痛と可愛い、と悶える心を抱えつつ聞く。
「…オレは、」
「オレはカリーとこれからもこの先もバカできますように、だな。」らしくもない言葉だ、自由と強さを求める自分が。願うなんぞ。
これからしてみせる誓いでもあるが、ひとつの願いでもある。戦いに生きる自分たちはいつ死ぬかも分からない運命の中やって来ているのだから。
誰よりも遥かに強いカリーもいつか年による衰えで殺されるかもしれない、だからこそーー。願わずにはいられない、そして自分の野望を叶えなくてはならないと誓う。
「おいおいー、そんなの叶うに決まってっだろ!。お前が仮にフリーザ軍から離れようとなんだろうと、俺たちは親友であり家族だ。んなの願わなくてもいいさ!。」
「願ってて損はねえだろ?、オレの野望は必ず叶えてみせるさ。」鈍感なお前にはやっぱ分からねえよな、自分が狙われてる未来なんかな。
「オレにとってカリーは…この全宇宙より価値があるものだ。」
「お?、随分と買ってくれるねえ。楽しみだぜ、お前が…どこまで成長するかは。」カリーはご満悦気味に口笛を軽く吹き、いう。本当の思いだ、ターレスがどこまで強くなりそしてやるのかは…楽しみな未来でもある。
自分にとってベジータ王子より可能性が未知で楽しみな宝箱のようなものだから。
ベジータ王子は覇道をいく、そして対するターレスは邪道でありながら新たな道を作る。そんなの楽しみに決まっているだろ。
「ああ、楽しみにしていろよカリー…」
ーいつか、その日までーお前を手に入れて、全宇宙を共に跪かせようー
ターレスのその野望に満ちた瞳を見て、カリーは少し胸がざわつく気持ちが出た。
「(お前が、いつか遠くに行きそうだな…)」湿っぽいな、と思い自嘲気味に笑う。
「さて!、とりあえず宇宙船に戻って酒飲もうぜ!!。」
「お前はいつもそればかりだな…、まっいい。質のいい肉でも食おうや。」
「ははは!、なんやかんや乗ってくれるターレスのこと俺は好きだぜ!!」ーずっと、ずっと共にいたいーいや、いよう。いつまでもー
カリーはそう思わずにはいられなかったし、いると思っていた。


「…あの時から幾年過ぎたんだろうな、ターレス。」白いマントをはためかせて、カリーは…あの時ともに統治した星で天の川をみあげる。
もう、誰もいなくなった……ラディッツもターレスも…。あの時のフリーザ軍のものたちも。
「何がずっといるだろ、だよな…ターレス………」7月7日…一年に一度、恋人に会える日…願わずにはいられなかったターレス、お前に会いたいと。そして、ラディッツにも……。
ずっと、ずっと信じて疑わなかったから……隣にはターレスがいてその後ろをラディッツが呆れたように着いてくることを。自分たちはそれでまたラディッツに、相変わらず冷たいなと笑ってからかうのだ。
「大馬鹿者の…わからず屋どもめっ。」次に、もし会う時はお前たちの仇を取ってからだ。ターレス、お前の顔面一発殴るからな。そして、馬鹿みたいに抱きついてやるよ。
んで…、次は地獄を共に支配しようや。俺たち最強だろ??。
「な、俺らならやれるだろ…クラッシャー軍団2人ならよ。」

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