花籠16

「……やはり、ラディッツちゃんの様子変だよな」
「百面相しているのはいつもの事だと思うぜ?」

カリーとターレスは共にPQの任務をしていてラディッツの行動に違和感を持っていた、百面相はしている。だが己たちになにか話そうとしては唇をかみしめてはこれじゃないあれじゃないと言いたげに頭を押さえてるのだ。

「俺たちから言ってもさぁ……、ラディッツちゃんあんまこたえねえじゃん?なんもないって」
「花吐き病が再発してるらしいからなにもないわけねえのだがねえ……」

ターレスは腕を組み遠目にラディッツのことを見つめる、敵の兵たちを倒していくラディッツ動きにキレはあるがやはりどこか焦っているような。

「足の蹴りだし、普段より0.3コンマほどはやいな」
「そんなに細かく気づくのカリーだけだぜ」

カリーとターレスはむかいあい、ためいきをつくやはり何かに焦って戦いにも出ている。
これだと無駄に体力を削ったラディッツは狙われやすくもなる、今のうちに引き離すかと周辺の敵を片付け始めた。
戦いや任務も終えてコントン都へと戻ってくる、なぁとターレスはラディッツにこえをかけた。

「な、なんだターレス」
「……ラディッツちゃん、なにかあったか?よその時空のオレの事か??」
「あ、あのターレスのか。そういえばラディッツちゃん声かけられたとかターレス話してたな」
「ああ、追い返したがな……様子が変だから聞いてるのだが」
「……っ」

ラディッツはターレスのその黒い目から視線を逸らす、なにか言いたげにラディッツも口を動かすがやはり言いにくいのかなにもないとこたえる。

「本気で?、ラディッツちゃん。俺から見ても今日のラディッツちゃん、なにかあせってるようにみえたけどよ」
「し、心配かけたのは悪い!!。ただっその、少なくとも……よそのターレスのじゃないんだ……」
「少なくとも?、だったら他にあるって言うのか」
「……っ悪い、落ち着いたら話す」

止める前にラディッツは駆け足で走り出す、カリーとターレスは顔を向かい合わせてあれはやはり何かあるなとつぶやいた。
よそのターレスのことではないということは、必然的にはなるがカリグラのことなのだろう。あの若いカリグラが来てからラディッツも色々と自分の黒い気持ち(カリグラを閉じ込めたいなど)に気づいたりもしていたのだから。

「あれは、なにもないわけないでしょ?」
「そうだな……、むしろなにかあるからこそだとおもうがね」
「一応時の界王神たちにもラディッツの様子がおかしいことは伝えるか?」
「PQの報告ついでだ、やっておこうや」

やってしまった、いえなかった。カリグラを縛ってあんなに目合ったのにまたカリグラと離れる夢を見てしまっていることを、ターレスやカリーは神話などについても詳しい。
しかもよその星のものやほかの時空についてもだ、なんでも他の時空に関してはカリグラの生まれ変わりである彼の時空のラディッツが契約していた大太刀の付喪神であり第六天魔王とよばれる国重が教えてくれたという話だ。
だから何か知っているとおもったのだラディッツは、自分がなぜこんなにも悪夢を見てしまうのかということも。カリグラといれば和らぐ時もあるがやはり見てしまう時が多い、彼も薄々何かを察しているがカリグラも深くは突っ込んでこないのだ。

「(オレから言うのを待っているのはわかる)」

でも、でもどう言えばいいのだ。こんな悪夢を、以前も見てしまったし……ああ離れられない忘れられないカリグラがあの女をラディとリンの母親にしてカリグラの生まれ変わりのラディッツの妻皇嵐を愛していたところを。
初恋だと聞いていたし知っていた、でもその現場を夢とはいえ見てしまうと心に曇りがかかる。
どんよりとして胸が重い、なぜこんなものを急に見るようになったのかも分からない。家へと戻ればカリグラはリビングにいない、私室にいるのだろうか?。
とぼとぼと歩き、衣装室に向かい戦闘服を置いて私服へと着替え始める。

「ああ、猫ちゃん。戻ってきたか?」
「カリグラッ……!、なっなにしてたんだ??」
「ん?、ああ自分の部屋で本を読んでいた。悪かったな、すぐ出迎えれなくて」

カリグラも部屋へと入ってきて着替えたばかりのラディッツを抱きしめて頭を優しく撫でてくれる。程よく冷たい彼の手が心地いい、この撫でられている間は1番安心出来る。
先程までの任務のことを話せば、褒めてもくれたし同時にあまり無茶はするなよと言葉をかけられた。

「お前、調子に乗ってすぐやられるところあるからな?」
「人を小物みたいに言うなっ!」
「調子乗ったら小物だろ、お前は。ほらみろ、これつけわすれてるぞ?」

そういいカリグラは、チョーカーを自分の首につけてくれる。任務の間落とさないか心配できょうははずしていたのだ。
カリグラからのプレゼント、それはどれもこれもなくしたくないもの。大事にして自分の懐にしまっておきたいものでもあるから。だから戦闘で消えたりなどしたら、自分は落ち込むと思いはずしていた。
家に戻ってきたらもちろん首につける、取り付け忘れるなど……今の自分がどれだけカリグラが消えることやあの悪夢に震えてることが密かにわかる。

「わっ、悪い感謝するカリグラ」
「構わんぞ……そのぐらいお前が今動揺しているということだろう?」

カリグラからの問いかけに固唾を飲み込む、でもどういえばいいと言うのだ。カリグラのことだ安心させてくれる言葉の問いかけを投げてくれるかもしれないが、皇嵐への愛を目の当たりして何も言えなくなっているのだ。
言葉を出そうとすれば引っ込んでしまう、喉につっかえてでないではなくそもそもの一文字が消えていくのだ。

「……猫ちゃんも若い大人だ、無理にとは言わんがな」
「わっ、悪い。だが!俺は若いと言っても30はとうに超えてるからな!?」
「俺からすれば赤ちゃんだぞ、はいはいの」
「2000をとっくに超えたお前と並べるなッッ!!」

カリグラが自分をあやすためにもそして空気を和らげるためにからかったのもよくわかる、カリグラの気遣いに感謝はするが……やはり自分は彼に消えて欲しくない。
ビルスの言葉も引っかかっている、カリグラを消すなら"カリグラ本人"しかいないと。どんなものが来るかも分からない、もしカリグラを消そうとするものがいれば自分は鬼にでも蛇にでもなろう。

「(カリグラは、オレのものだ)」

誰にも渡さないしあげない、それがラディたちの母親だろうと軽く言い合いしながらも自分がこんなに黒い想いを抱いているとカリグラはしればどんな反応をするのだろう?。
心も読める彼のことだから、それこそ笑って可愛いなと言うかもしれんが。

「とにかく!、飯の用意するぞ!!。さすがにオレも疲れたからな!」
「ん?、それなら俺がつくってもいいぞ」
「お前ばかり作ると舌が肥える!!!、オレがやるんだッ!」
「俺は食いたいものを用意してるだけだぞ?、別に舌が肥えてもいいがな俺以外のものを食べれなくなればいい」
「ジョーダン言うなッッ!」
「本気だがなぁ~、花吐き病で疲れているお前のためにな?」

そういいカリグラが優しく唇にくちづけてくれる、顔を赤くして睨みつけてもカリグラはその唇を意地悪くあげてまたからかってくる。
彼からの口付けは心臓に悪い、でも彼がしてくれたおかげで少し心が落ち着いた感じもしてくる。

「そんなにバタバタと暴れるならお前が作ってくれ、もちろん……夜のデザートは猫ちゃんだよな?」
「そういうえっちなことまでいうなッ!!!、くたばれ!カリグラッッ!!!」
「顔を赤くして言われてもなんとも思わんぞ~、ツンデレこにゃんこめ」

自分が叫んでもカリグラはニヤニヤとはいはい子猫と笑ってくる、本当に最悪な男だ。
でもそんな彼のことが自分は好きなのだ。好きで好きでたまらなくて、独占したいのだ。
カリグラの全てが欲しい、そう思うほどには彼に何度も溺れている。
だからカリグラ、あの悪夢のように俺から離れないでくれ───
そう思いながらラディッツは相変わらず素直になれずカリグラに言葉をぶつけるばかりだ。

フューの影響もあってだろうか、最近かなり昔の歴史が変えられたりもしている。
小さくも大きい穴が広がるようにどんどんと侵食されているようだ。

「好きにさせておけば良くないか?」
「きみはッッ!、いつでもなんでもできるからその余裕でしょ!?」
「お?、さすがわかってんなババア」
「ほんとに余裕ばかりねっっ!!!、このジジイッ!!!!」

ラディッツはついでのごとく連れてこられて時の界王神と老界王神、そしてカリグラ3人の話し合いの場にいる。
トランクスもいるのはいるが……、もうこの3人にツッコミたくないとどこか干からびていた。ヤングケアラーって大変なんだな、とラディッツは他人事のようにおもう。

「第一フューのやつは使えるだろう?、エネルギーを集めてそれで実験している。俺たちへの利益もあるではないか」
「キミにだけでしょうがっっ!!!」
「失礼だな。俺はエネルギーなしで飛んでいける、フリーパスだ」
「ドヤ顔で言うでないわッッ!、この暴君がっっ!!」
「うるせえなおサボりじじいめ」
「……カリグラ、話し合いじゃなく文句の言い合いになってるぞ」
「猫ちゃん、ジジババというものはな?。生産性のないことしか言い合えないんだ」
「「お前が言うなっ!!!、ジジイ!!」」

フューのことを話し合う前にこの3人が互いの意見の果てにぶつかり合い、世界が終わるのではないかとおもってしまう。

「……なぁ、この起きてる事柄のって下手すればあのきた若いカリグラの歴史に影響あるのではないのか?」

ラディッツはふと思い出した、あの歩く大災害歩く人災の男を出す。
時の界王神はラディッツの不意な言葉に少し考えて、冷静になったのかありえるわねとこたえた。

「あそこもなんだかんだ時空の歪みからですもの、多少なりともうけるはずよ。まぁ、カリグラですからどうにかするんじゃない」
「人を便利道具みたいに言うな、ババア」
「うるさいわね!、それしか役に立たないジジイッッ!!!」

やはりあるのか……、あそこも少しした時空の歪みから若いカリグラが触れてこちらの世界へと飛んできてしまった。
この小さくも深い穴が向こうに被害を与えなければいいが、とラディッツはおもう。
同時にあのカリグラはどうしているのだろうと思った、元気にしているのは確実だ。カリグラだから風邪なんか引くわけないだろう。だがどれぐらいの時が向こうでたっているのだろう、と思ってしまう。袖振り合うも多生の縁、ラディッツにとってあの若いカリグラも他人ではなく大事な男のひとりとなったのだ。

「仕方ないわねっ!、やはりラディッツにバニーガールを着せてカリグラに……ッ!!!」
「おいっ!、時の界王神今軽くオレに恐ろしいことをさせようとしてないかッ!?」
「バニーガールよりメイド服よこせ、猫ちゃんはそれがいい微妙に似合わなくて可愛い反応しそうだろう?」
「サラリと注文するなッッ!」

同時に今、『微妙に似合わなくて』という言葉のチョイスとして馬鹿にしてるのかなんなのか分からないコメントが来たと思うがそこはなかったことにした。
時の界王神も己に何をさせたいのかよく分からないが、おおかたなにか起きた時にカリグラを使えるようにと生贄を捕まえようとしているのだろう。

「だめ??、ラディッツ」
「オレは男だぞっ!?、ガールではないからなッ!!」
「カリグラに抱かれてる時は甘くしておるのではないか?」
「そうよね~、おじいちゃん。だから、ね??」
「断固!断るぞッッ!!!」

この老人ふたりもはた迷惑なことしかしてこない!、ラディッツは本気で歯を食いしばるほどに怒りが出ていた。

「(ああもうッ!、まぁ……あの若いカリグラもけっ怪我してなければいいが)」

カリグラだからそんなことは無いと思うが、気になりはする。
もしかしたら……あのカリグラは、皇嵐と呼ばれる女神とくっついていたりするかもしれないのだから。それを思うとやはり胸がチクリ、と痛むが己の恋人たるカリグラをみればすこしおさまる。

「……カリグラ、あの若いやつどうしてると思う?」
「知らん、くたばってるかもな」
「あからさまに考える気ゼロな回答やめろッッ!!!」

ちょっと己の恋人たるカリグラは、心が狭いところがあるかもしれない。
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