ドラゴンを拾ったラディッツの話1
確かに…よく見たらカリグラの頬舐められたあとがついている、ハンカチで拭きながら彼はやれやれといいたげだ。
「ちびもお前の優しそうなとこ分かってじゃないのか?」
「俺の?猫ちゃんの方が世話焼きでお人好しだろう」
「おっ、お人好しか??」
「あぁ、かなりのな。…そこがお前の憎めないところだが」
「きゅ!きゅうう!(お母さん!優しい!)」2人から言われると少し照れてしまう、早く行こうっとちびと一緒に席に早足で向かう。
まずはちびから食べさせていこうとラディッツはスプーンですくい、口元に運び食べさせた。すると嬉しそうにご飯を食べてくれる。1日経ったが、手からスプーンへと慣れてきたようで抱っこすれば食べてくれるようだ。
「良かったッ、今日は食べてくれるな」
「ぎゅう!(美味しい!)」
「………(猫ちゃん…あいつにばかりかまけてないか?)」ラディッツはずっとちびにごはんをあげてばかり、ミルクもわざわざあげてちびが食べ終えたら朝食を食い終えて食器を片付けていた自分にすまないとたのんでくる。
チビはそれでも嫌だとラディッツの頭にのったり隣にいい子に座ったりとしていた。
「きゅいきゅい!(お母さんのとこにいる!)」
「…しょうがないな」
「……」こんなに懐いてくれてるなんて、とラディッツはすごくうれしそうだ。ちびのほうもラディッツが強く追い払わないからとそばにいて楽しげに彼が食べているところを見ている。
カリグラは表向き微笑んでみているが内心腸が煮えくり返りそうだ。ラディッツに触れたくてもあまり触れられない、ドラゴンは庇護するものだとは思うが……正直ラディッツがそちらばかりに意識がいくことはかなり気に食わない。
我慢はできても先走る気持ちというものがある、あまり気分が良くないのは事実だ。
「コラちびっ、あまり人の顔を舐めたらダメだ」
「きゅい!」仲がいい、仲が良すぎる。剃り込みで親だとなっているから仕方ないがそれだろうと他人がラディッツの顔を舐めるのは気に食わない。
思わずお気に入りの湯のみをわりそうになるほどにはイライラしている。
「(表に出さないだけありがたく思え)」そう思いながらラディッツとドラゴンが戯れている姿を眺める。
いつもの戦闘をしている時よりも特段落ち着いており、小さい頃の無邪気さが出ているようだ。癒されてるならそれはそれでいいか…、とおもうが己も所詮男。なんだかモヤモヤした気持ちはある。
「…本気で覚えてろよ 」チビの親を見つけた後、徹底的に抱き潰してやるからな?と思いつつカリグラは湯のみを割らない程度に握った。
「ちょっとちびと図書館に行ってくる」食事を終えて落ち着いた頃、ラディッツからそう声をかけられてまさかのか?と聞き返した。
どうやら月鬼から、ドラゴンに関してならナメック星人のもあるし図書館にいくつか本があるはずだと言われたらしい。
そんなもの自分が用意する、といえば今回は自分でしたいとラディッツからのわがままがいわれる。
「…オレも自分でやりたいッ、幸い今日は休みも取れているし……カリグラもゆっくりしていてくれ」
「俺はお前といれたら、とおもっているが」
「あっあとだ!あと!!」手を触ろうとすればラディッツから一気に顔を赤くされて玄関へと逃げられる。
ちびはいってきまーす!と嬉しげに行ってるが手の行き場のない己は盛大なため息を着くしか無かった。
「本気で…あいつはぁ~…!ナッパとかに絡まれても知らんぞほんきで」ラディッツの真面目なところと慕ってくれるもののために動くところは好きだ、いざと言う時はお調子者なところがたまに傷だが。
だがまさか……置いていかれるとは思わないだろ?、おまけにチビがチビがと朝から可愛がり朝からべったりで。仲良いことは良い、だがすまないが彼氏として不満な所が大いにある。
子供から開放されたし、何かあればわかるし少し癒されるかと自室に向かう。
武器や花の手入れをするのが好きだ、まず最初に刀の手入れをしよう。
保管庫からいくつか出して一つ一つ丁寧にしていく、目釘抜きで刀身を取り出して丁子油を布にのせて丁寧に均等になるように伸ばしていく。
心做しか手入れ前より綺麗になってきたように思い、拭紙で余分な油分を拭き取った。この作業は大事だ、丁寧に拭くことで錆ることも防ぎ余計な汚れがつかないようになる。
あとは打ち粉だな、と道具をとり優しく叩きさらに保護を強化していく。
こうやって黙々と手入れをすることは好きだ、気に入ったものには特に手入れを行う。自分のものだからこそより1級品にしたいと思っているから。それに長く使いたいし、この手入れをしている刀はとある時空の武将から受けとったもの。業物であり下手すれば国宝に認定されるものだ。
ならばなおのこと丁寧にしないと、とネル布を出して優しく打ち粉や油を拭いて刀身を戻してさやになおす。
椅子の背もたれにもたれかかり、フゥと息をついた。
「……ガキと関わると疲れる…」ラディッツなりに気遣ってくれてのかもしれないが、はやく彼を吸いたい。猫吸いならぬラディッツ吸いをしたくてたまらない。
手入れをしながらしても、結局彼を抱きしめたいラディッツを甘やかしたいと考えてしまう。この自分のデカすぎる愛情は全く把握されてないだろうな…とすこしためいきをつきながら手入れをおこなっていく。
「よぉ、ジジイ。…猫はいねえのか?」そんなこんなをしていると自分の生まれ変わり…、魔王の魂を持ち己の記憶を全て持っている月鬼が後ろに現れた。
思わず短刀を怒りのあまりに投げて突き刺しさうになる。
「ちっ!、危ねぇことすんじゃねえぞ!!」
「…背後に現れたきさまが悪いだろうが、猫はお前に会ったかとおもってたが」
「は?会ってねえよ、……あー"俺(ニキ)"にあってんじゃね?」
「…猫ちゃん随分と運が悪いな」月鬼はドカッと真向かいの椅子へと座りタバコを懐から出してライターで火をつけて吸う。
「イライラしてるじゃねえか…、屋敷に入る前から突き刺さるほどの殺気を感じてたぜ?」
「……」
「せっかく完璧に1つ戻ったのによぉ、その余裕のなさ……やべぇんじゃねえの?」
「お前の前では別に作った顔なんぞ見せなくていいだろ??」手入れを終えた刀剣や武器たちを魔の手に運ばせて片付ける、そしてワイングラスをひとつ。彼に投げ渡した。
「飲むの付き合え。ことわれば腕を折る」
「…ジジイ、俺の前では随分と本性だすじゃねえか」
「………腹立つが、きさまが1番俺の本性そのものを受け継いでいるからな」赤ワインをひとつ出して、自分のグラスに注ぎ月鬼に渡す。月鬼もその言葉に言えてる、と自嘲気味に笑いながら受け取り注いだ。
「…ガキが嫌い、そのくせ己が好きな番には一直線。ほんと救えねえ性格をしてるぜ」
「…分かってるぞ、そんなのは。だが、猫を悲しませたくないのも事実だ…俺1人我慢するのはできるからな」
「八つ当たりを俺にすんなよ」
「さぁ?、そこに腹立つやつがいればちとやるかもな「皇嵐にチクるぞ」それだけはやめろ」皇嵐にだけは勘弁願いたい、今は恋愛感情が無いとはいえ憧れていた女の一人。自分のなかでは特別なひとりではある、そして何より…彼女は怒ると怖い。
また若い頃仕出かしたようにかなり怒られて、激怒の雷を落とされるのはたまったもんじゃない。
「猫には言ってねえんだろ?、かなり苛立ちを感じてることは」
「言うわけないだろう…?、あいつはお前たちと比べても純粋だ。俺の欠片を持ってたとはいえ、所詮"別時空"。怯えられるようなことはせんさ」
「ハハハッ!、ジワジワと人外にさせようとしてるやつが言うことかよ!!」ケラケラと笑う月鬼をその光のない赤い瞳で睨みつけながらカリグラはワインを1口飲む。
月鬼は本当に若い頃の自分だ、姿かたちは違えどバカにしながらも己を見定める目もニヤリと笑う口角もなにもかもそっくりだ。
「……ほんに猫がお前に懐いている理由がわからないなぁ」
「俺の人格がなし得ることさ、……皇嵐のときとちげぇじゃねえか。あん時は本性もバレてたから慎重に行きつつ本心をさらしたってか?」
「皇嵐には隠し事をしない方が上手くいく…、それにあいつは唯一俺という存在を受けいれてくれた。猫ちゃんは…、か弱すぎてな」
「か弱い、ねぇ。言いてぇことはわかるぜ、あいつは大人だが子供だ。…それこそお前が嫌う子供の形に近いような、だが大人だからそのアンバランスさが好きなのだろ?。ちょっと黒をやれば染まる純粋さとか、だからあいつは魔に好かれやすい」
「カカロットの兄だとわかるほどのな、俺相手となればうっかり子供の頃の癖が出るのか甘えても来る」
「その悦に浸ってるのがてめえだろ、性格わりぃー。まっ、俺と"俺"そしてお前……ろくな子供時代を送ってこなかった…家族愛なんかいちばん欠けてるじゃねえか"俺"のほうは皇嵐のおかげで得た。今では2児の父親、対する俺とお前は?。お前は得ても恨みを持っている、サイヤ人なんざ親の肉を引き裂いて生きていくものだと」
「…俺なんざ失っちまった、だから"俺"に未来を託している。……正直家族なんざ鎖にしかならねえ、ガキなんざ一切いらねえ。お前のなりの果てが俺だ、……見ちまったんだろ"俺たちの末路を"」一瞬、月鬼が魔王の顔の自分に見えてしまった。回収したとはいえやはり月鬼は自分だ、隠していることはどうやらバレたらしい。
それにも溜息をつきながら、そうだとカリグラは答えた。
「カカロット達なんぞ太刀打ちできないほどのな、あれは…全てに絶望した俺だ。よその時空で暴れて、転々としているのだろう。なぜわかった?」
「ちびの事を猫が連絡してきた時だな、俺と同じ…いや俺より黒い気を感じたぜ時の巻物にすら掲載されてなさそうだと思ってよ」
「…時の界王神が居ない時にでも確認したか?」
「まぁな、早朝にちと寝かせて」
「……なるほどな」
「別に俺は恋人に全て話せ、とは言わねえよ。…言わねえ事も愛のひとつだろ、…皇嵐が傷つかない為にお前が全てを背負って死を選んだ事とかよ。だが、猫は明らかにお前との子供と欲しがっている知りたがってもな」
「……分かっている」
「絶望はさせんな、精々…上手く嘘をつけ。猫にとっていい夢を見せろよ」
「…お前に言われると腹たってくるなぁ、殴らせろ」
「断るぜ、むしろ俺はじじいの話を聞いてやってんだから報酬よこせよ報酬」
「ワイン飲ませてやってるだろ?」
「足りねえよ、ボジョレーだけじゃ。ほかもよこしやがれ」
「だったら、俺にてめえが有能だと教えろ」
「ジジイ、俺も"カリグラ"だってこと忘れてねえよな?。!」軽口を叩きあっているとラディッツの帰宅の音が聞こえてくる。
「カリグラ…!?、カリグラどこだ!!?」いつもならばラディッツが帰宅する前にリビングにいたり出迎えたりしていたせいか、ラディッツの声が不安げだ。
少し泣きそうな子供のような声を出して、自分を探している。
「おい、顔がわりぃぞ」
「……うるさい」正直その声を聞いていて心地いい、自分がいないと不安なラディッツが。何も出来ない、哀れで可愛い子の声が。
「かり、ぐらっ…~!。カリグラッッ!!」
「きゅいー!(お父さんー!)」
「…テメェ、お父さんと?。これが!?、人格終わってんのにっ!!??」
「俺とて思ってるわ…!」
「カリグラ…!?カリグラッッ!!!」月鬼が珍しく叫んだ声が聞こえてかラディッツは焦って走ってきて、図書館から借りてきた本を床に放り投げてちびと共に椅子に座っていたカリグラへと抱きつく。
しっぽをぎゅうとカリグラの腰に巻かれた彼のしっぽへとまきつけて、ちびは容赦なく顔面へとダイブした。がたっ、と椅子が傾く音が聞こえるがカリグラがどうにかこらえて2人を受け止める。
「ぶっっはっ!!!ジジイ情けねえ面してんなッ!!」
「カリグラ!いなくてっ驚いたぞ!!、…兄貴!?。来てくれたのかっ」
「……おい、チビ少し離れろ。せめて肩に乗れ」
「ぴゃー!(わかった!)」パタパタと動くちびは大人気ないほどに笑い、瞬時に撮った写真を見る月鬼のことをじっとみつめる。
なんだ?、と月鬼が首を傾げるとちびは目をぱちくりとさせた。
「ピャー?(お父さん…?ふたり??)」
「まちがいじゃねえが、まちがってるな(このガキ、魔力を見たな)」
「あっ、えっ、と……ちびそうだな兄貴は「俺であって俺ではない、パパとでも呼んでろ」カリグラ!?」
「ぴゃ!!(パパ!)」
「おいクソジジイっ!俺をてめえらの家族ごっこに巻き込むんじゃねぇ!!!!」
「そういえば?子育てにままごとはひじょーにいいらしいなぁー??、若造付き合え」
「兄貴!そういえば兄貴、ラディ達のこともあるし幻獣も育ててたのだろ!?。協力してくれ!」
「はぁぁ!!?ふざけるなよっ!この俺が家族ごっこなんぞ付き合うか!」
「若造そうカッカッとすんな」
「てめえに言われたくねぇぞ!この二面ヅラクズじじいがッ!」このクソジジイ、舌の根も乾かぬうちにころりと顔を変えて言いやがってと月鬼はカリグラを睨みつける。
先程まで嫌な顔をしてたくせにラディッツが甘えてきて、くっついてきて機嫌を少し取り戻したのかあっさりと皇帝の顔を見せている。
「ほらちび、………パパだぞ!」
「考えたふうに見せかけてそう呼ばすな!」
「ぷぃー!!!(パパー!!遊ぼー!)」
「ダァァァ!懐いたようにくっついてくるんじゃねぇ!!」ちびは飛んで月鬼の頭へと乗っかったりすりすりとよっていく、やはり人懐っこいのか完全人嫌いな月鬼にも容赦なく甘えてる。
月鬼も月鬼で嫌がりながらも強く抵抗はしない、ラディッツの目前だからだろう。カリグラは密かにざまぁみろと思いながらどうだった?とラディッツにきいた。
「色々本を見つけたぞ!そのっ、それこそドラゴンの伝承とか……カリグラがっ載ってるやつとか」
「俺?、あー……一時期なっていたりしたからか」なつかしいなとぼやく、変身術を初めて覚えたときにまずはドラゴンになろうとなりよく飛んだりしたものだ。そしてそれこそ、歯向かうものたちには容赦なく攻撃をして火を噴いたりとしたものだ。
隕石も落としたり、扱える自然災害全てを使い滅ぼしたりとしたものだ。それだけではなく再生能力や自然に力を分け与えて再生させたりともしていた。芽を芽吹かせて、花を咲かせて蔦をからませて自然のカーテンを作ったりと本当に色々してきた。
それのおかげか何かわからないが、厄災の神としてだったり生命の神として祀られていることもあった。
「……(色々としていたな)」ぼんやりと過去をふりかえっているとチビがパタパタと飛んでくる。かなり月鬼と遊んでもらえたからで満足していそうだ。
「きゅ!きゅう!!(お父さん!お母さん!好き!!!パパも!!!)」
「…俺はさっき関わったばっかだろうが」
「!オレも好きだぞ!ちび!!」
「…………」過去を振り返ったり懐かしいのはあるが、やはりラディッツがちびにばかり構うのは気にわない。おまけに自分に対してよりはるかにちびへのほうが素直だ。
可愛い、可愛いさ。ラディッツがツンデレしてくれるのも、たまに感情が溢れてカリグラのバカ!と文句言ってくる時もあるがそれすらも愛おしくて可愛い。
だが、ちびにばかり素直になるのはどうにかならないのか?。
「おいジジイ、顔が鬼になってるぜ」
「…これは失礼、少し晒したか?」
「コロりと顔を変えるのもこわいわぁ~…」あーぁ、と言ってくる月鬼を見る限り相当嫌な顔をさらしていたようだ。
だが仕方ないだろ?、ラディッツがかなりちびへと意識を向けているようだから。
「俺のこと忘れてそうだな」ちびのことを抱きしめてギューギューしながら、お昼の準備するか!というあたり。
あんなにカリグラどこ!?と慌ててたのに今ではちびのことめでまくりだ。親代わりとしてはいいかもしれないが恋人のことも見てほしい、と思ってしまう。
「兄貴!兄貴もいるよな!?」
「…あーー、しょうがねえないてやるよ」
「ぷゅ!(パパもいる!)」
「俺がパパなら、あの"俺"はなんになるんだよ……きたらよ」
「さあ?ダディとかにでもなるんじゃないのか」
「(そうっっとう怒ってんな…猫のやつ、親見つけたあとSMされんじゃねえのか)意味わからねぇ~…」わかってるさ、自分が相当切れてることなんぞ。ああ心狭いと言われれば狭かろう、だが本音は心の中で沢山吐かせてもらうと思いながらもちびと仲良くするラディッツの背中を見て低く冷たく呟いた。
「…焦らされたぶん、堪能させてもらうぞ」
「ちびもお前の優しそうなとこ分かってじゃないのか?」
「俺の?猫ちゃんの方が世話焼きでお人好しだろう」
「おっ、お人好しか??」
「あぁ、かなりのな。…そこがお前の憎めないところだが」
「きゅ!きゅうう!(お母さん!優しい!)」2人から言われると少し照れてしまう、早く行こうっとちびと一緒に席に早足で向かう。
まずはちびから食べさせていこうとラディッツはスプーンですくい、口元に運び食べさせた。すると嬉しそうにご飯を食べてくれる。1日経ったが、手からスプーンへと慣れてきたようで抱っこすれば食べてくれるようだ。
「良かったッ、今日は食べてくれるな」
「ぎゅう!(美味しい!)」
「………(猫ちゃん…あいつにばかりかまけてないか?)」ラディッツはずっとちびにごはんをあげてばかり、ミルクもわざわざあげてちびが食べ終えたら朝食を食い終えて食器を片付けていた自分にすまないとたのんでくる。
チビはそれでも嫌だとラディッツの頭にのったり隣にいい子に座ったりとしていた。
「きゅいきゅい!(お母さんのとこにいる!)」
「…しょうがないな」
「……」こんなに懐いてくれてるなんて、とラディッツはすごくうれしそうだ。ちびのほうもラディッツが強く追い払わないからとそばにいて楽しげに彼が食べているところを見ている。
カリグラは表向き微笑んでみているが内心腸が煮えくり返りそうだ。ラディッツに触れたくてもあまり触れられない、ドラゴンは庇護するものだとは思うが……正直ラディッツがそちらばかりに意識がいくことはかなり気に食わない。
我慢はできても先走る気持ちというものがある、あまり気分が良くないのは事実だ。
「コラちびっ、あまり人の顔を舐めたらダメだ」
「きゅい!」仲がいい、仲が良すぎる。剃り込みで親だとなっているから仕方ないがそれだろうと他人がラディッツの顔を舐めるのは気に食わない。
思わずお気に入りの湯のみをわりそうになるほどにはイライラしている。
「(表に出さないだけありがたく思え)」そう思いながらラディッツとドラゴンが戯れている姿を眺める。
いつもの戦闘をしている時よりも特段落ち着いており、小さい頃の無邪気さが出ているようだ。癒されてるならそれはそれでいいか…、とおもうが己も所詮男。なんだかモヤモヤした気持ちはある。
「…本気で覚えてろよ 」チビの親を見つけた後、徹底的に抱き潰してやるからな?と思いつつカリグラは湯のみを割らない程度に握った。
「ちょっとちびと図書館に行ってくる」食事を終えて落ち着いた頃、ラディッツからそう声をかけられてまさかのか?と聞き返した。
どうやら月鬼から、ドラゴンに関してならナメック星人のもあるし図書館にいくつか本があるはずだと言われたらしい。
そんなもの自分が用意する、といえば今回は自分でしたいとラディッツからのわがままがいわれる。
「…オレも自分でやりたいッ、幸い今日は休みも取れているし……カリグラもゆっくりしていてくれ」
「俺はお前といれたら、とおもっているが」
「あっあとだ!あと!!」手を触ろうとすればラディッツから一気に顔を赤くされて玄関へと逃げられる。
ちびはいってきまーす!と嬉しげに行ってるが手の行き場のない己は盛大なため息を着くしか無かった。
「本気で…あいつはぁ~…!ナッパとかに絡まれても知らんぞほんきで」ラディッツの真面目なところと慕ってくれるもののために動くところは好きだ、いざと言う時はお調子者なところがたまに傷だが。
だがまさか……置いていかれるとは思わないだろ?、おまけにチビがチビがと朝から可愛がり朝からべったりで。仲良いことは良い、だがすまないが彼氏として不満な所が大いにある。
子供から開放されたし、何かあればわかるし少し癒されるかと自室に向かう。
武器や花の手入れをするのが好きだ、まず最初に刀の手入れをしよう。
保管庫からいくつか出して一つ一つ丁寧にしていく、目釘抜きで刀身を取り出して丁子油を布にのせて丁寧に均等になるように伸ばしていく。
心做しか手入れ前より綺麗になってきたように思い、拭紙で余分な油分を拭き取った。この作業は大事だ、丁寧に拭くことで錆ることも防ぎ余計な汚れがつかないようになる。
あとは打ち粉だな、と道具をとり優しく叩きさらに保護を強化していく。
こうやって黙々と手入れをすることは好きだ、気に入ったものには特に手入れを行う。自分のものだからこそより1級品にしたいと思っているから。それに長く使いたいし、この手入れをしている刀はとある時空の武将から受けとったもの。業物であり下手すれば国宝に認定されるものだ。
ならばなおのこと丁寧にしないと、とネル布を出して優しく打ち粉や油を拭いて刀身を戻してさやになおす。
椅子の背もたれにもたれかかり、フゥと息をついた。
「……ガキと関わると疲れる…」ラディッツなりに気遣ってくれてのかもしれないが、はやく彼を吸いたい。猫吸いならぬラディッツ吸いをしたくてたまらない。
手入れをしながらしても、結局彼を抱きしめたいラディッツを甘やかしたいと考えてしまう。この自分のデカすぎる愛情は全く把握されてないだろうな…とすこしためいきをつきながら手入れをおこなっていく。
「よぉ、ジジイ。…猫はいねえのか?」そんなこんなをしていると自分の生まれ変わり…、魔王の魂を持ち己の記憶を全て持っている月鬼が後ろに現れた。
思わず短刀を怒りのあまりに投げて突き刺しさうになる。
「ちっ!、危ねぇことすんじゃねえぞ!!」
「…背後に現れたきさまが悪いだろうが、猫はお前に会ったかとおもってたが」
「は?会ってねえよ、……あー"俺(ニキ)"にあってんじゃね?」
「…猫ちゃん随分と運が悪いな」月鬼はドカッと真向かいの椅子へと座りタバコを懐から出してライターで火をつけて吸う。
「イライラしてるじゃねえか…、屋敷に入る前から突き刺さるほどの殺気を感じてたぜ?」
「……」
「せっかく完璧に1つ戻ったのによぉ、その余裕のなさ……やべぇんじゃねえの?」
「お前の前では別に作った顔なんぞ見せなくていいだろ??」手入れを終えた刀剣や武器たちを魔の手に運ばせて片付ける、そしてワイングラスをひとつ。彼に投げ渡した。
「飲むの付き合え。ことわれば腕を折る」
「…ジジイ、俺の前では随分と本性だすじゃねえか」
「………腹立つが、きさまが1番俺の本性そのものを受け継いでいるからな」赤ワインをひとつ出して、自分のグラスに注ぎ月鬼に渡す。月鬼もその言葉に言えてる、と自嘲気味に笑いながら受け取り注いだ。
「…ガキが嫌い、そのくせ己が好きな番には一直線。ほんと救えねえ性格をしてるぜ」
「…分かってるぞ、そんなのは。だが、猫を悲しませたくないのも事実だ…俺1人我慢するのはできるからな」
「八つ当たりを俺にすんなよ」
「さぁ?、そこに腹立つやつがいればちとやるかもな「皇嵐にチクるぞ」それだけはやめろ」皇嵐にだけは勘弁願いたい、今は恋愛感情が無いとはいえ憧れていた女の一人。自分のなかでは特別なひとりではある、そして何より…彼女は怒ると怖い。
また若い頃仕出かしたようにかなり怒られて、激怒の雷を落とされるのはたまったもんじゃない。
「猫には言ってねえんだろ?、かなり苛立ちを感じてることは」
「言うわけないだろう…?、あいつはお前たちと比べても純粋だ。俺の欠片を持ってたとはいえ、所詮"別時空"。怯えられるようなことはせんさ」
「ハハハッ!、ジワジワと人外にさせようとしてるやつが言うことかよ!!」ケラケラと笑う月鬼をその光のない赤い瞳で睨みつけながらカリグラはワインを1口飲む。
月鬼は本当に若い頃の自分だ、姿かたちは違えどバカにしながらも己を見定める目もニヤリと笑う口角もなにもかもそっくりだ。
「……ほんに猫がお前に懐いている理由がわからないなぁ」
「俺の人格がなし得ることさ、……皇嵐のときとちげぇじゃねえか。あん時は本性もバレてたから慎重に行きつつ本心をさらしたってか?」
「皇嵐には隠し事をしない方が上手くいく…、それにあいつは唯一俺という存在を受けいれてくれた。猫ちゃんは…、か弱すぎてな」
「か弱い、ねぇ。言いてぇことはわかるぜ、あいつは大人だが子供だ。…それこそお前が嫌う子供の形に近いような、だが大人だからそのアンバランスさが好きなのだろ?。ちょっと黒をやれば染まる純粋さとか、だからあいつは魔に好かれやすい」
「カカロットの兄だとわかるほどのな、俺相手となればうっかり子供の頃の癖が出るのか甘えても来る」
「その悦に浸ってるのがてめえだろ、性格わりぃー。まっ、俺と"俺"そしてお前……ろくな子供時代を送ってこなかった…家族愛なんかいちばん欠けてるじゃねえか"俺"のほうは皇嵐のおかげで得た。今では2児の父親、対する俺とお前は?。お前は得ても恨みを持っている、サイヤ人なんざ親の肉を引き裂いて生きていくものだと」
「…俺なんざ失っちまった、だから"俺"に未来を託している。……正直家族なんざ鎖にしかならねえ、ガキなんざ一切いらねえ。お前のなりの果てが俺だ、……見ちまったんだろ"俺たちの末路を"」一瞬、月鬼が魔王の顔の自分に見えてしまった。回収したとはいえやはり月鬼は自分だ、隠していることはどうやらバレたらしい。
それにも溜息をつきながら、そうだとカリグラは答えた。
「カカロット達なんぞ太刀打ちできないほどのな、あれは…全てに絶望した俺だ。よその時空で暴れて、転々としているのだろう。なぜわかった?」
「ちびの事を猫が連絡してきた時だな、俺と同じ…いや俺より黒い気を感じたぜ時の巻物にすら掲載されてなさそうだと思ってよ」
「…時の界王神が居ない時にでも確認したか?」
「まぁな、早朝にちと寝かせて」
「……なるほどな」
「別に俺は恋人に全て話せ、とは言わねえよ。…言わねえ事も愛のひとつだろ、…皇嵐が傷つかない為にお前が全てを背負って死を選んだ事とかよ。だが、猫は明らかにお前との子供と欲しがっている知りたがってもな」
「……分かっている」
「絶望はさせんな、精々…上手く嘘をつけ。猫にとっていい夢を見せろよ」
「…お前に言われると腹たってくるなぁ、殴らせろ」
「断るぜ、むしろ俺はじじいの話を聞いてやってんだから報酬よこせよ報酬」
「ワイン飲ませてやってるだろ?」
「足りねえよ、ボジョレーだけじゃ。ほかもよこしやがれ」
「だったら、俺にてめえが有能だと教えろ」
「ジジイ、俺も"カリグラ"だってこと忘れてねえよな?。!」軽口を叩きあっているとラディッツの帰宅の音が聞こえてくる。
「カリグラ…!?、カリグラどこだ!!?」いつもならばラディッツが帰宅する前にリビングにいたり出迎えたりしていたせいか、ラディッツの声が不安げだ。
少し泣きそうな子供のような声を出して、自分を探している。
「おい、顔がわりぃぞ」
「……うるさい」正直その声を聞いていて心地いい、自分がいないと不安なラディッツが。何も出来ない、哀れで可愛い子の声が。
「かり、ぐらっ…~!。カリグラッッ!!」
「きゅいー!(お父さんー!)」
「…テメェ、お父さんと?。これが!?、人格終わってんのにっ!!??」
「俺とて思ってるわ…!」
「カリグラ…!?カリグラッッ!!!」月鬼が珍しく叫んだ声が聞こえてかラディッツは焦って走ってきて、図書館から借りてきた本を床に放り投げてちびと共に椅子に座っていたカリグラへと抱きつく。
しっぽをぎゅうとカリグラの腰に巻かれた彼のしっぽへとまきつけて、ちびは容赦なく顔面へとダイブした。がたっ、と椅子が傾く音が聞こえるがカリグラがどうにかこらえて2人を受け止める。
「ぶっっはっ!!!ジジイ情けねえ面してんなッ!!」
「カリグラ!いなくてっ驚いたぞ!!、…兄貴!?。来てくれたのかっ」
「……おい、チビ少し離れろ。せめて肩に乗れ」
「ぴゃー!(わかった!)」パタパタと動くちびは大人気ないほどに笑い、瞬時に撮った写真を見る月鬼のことをじっとみつめる。
なんだ?、と月鬼が首を傾げるとちびは目をぱちくりとさせた。
「ピャー?(お父さん…?ふたり??)」
「まちがいじゃねえが、まちがってるな(このガキ、魔力を見たな)」
「あっ、えっ、と……ちびそうだな兄貴は「俺であって俺ではない、パパとでも呼んでろ」カリグラ!?」
「ぴゃ!!(パパ!)」
「おいクソジジイっ!俺をてめえらの家族ごっこに巻き込むんじゃねぇ!!!!」
「そういえば?子育てにままごとはひじょーにいいらしいなぁー??、若造付き合え」
「兄貴!そういえば兄貴、ラディ達のこともあるし幻獣も育ててたのだろ!?。協力してくれ!」
「はぁぁ!!?ふざけるなよっ!この俺が家族ごっこなんぞ付き合うか!」
「若造そうカッカッとすんな」
「てめえに言われたくねぇぞ!この二面ヅラクズじじいがッ!」このクソジジイ、舌の根も乾かぬうちにころりと顔を変えて言いやがってと月鬼はカリグラを睨みつける。
先程まで嫌な顔をしてたくせにラディッツが甘えてきて、くっついてきて機嫌を少し取り戻したのかあっさりと皇帝の顔を見せている。
「ほらちび、………パパだぞ!」
「考えたふうに見せかけてそう呼ばすな!」
「ぷぃー!!!(パパー!!遊ぼー!)」
「ダァァァ!懐いたようにくっついてくるんじゃねぇ!!」ちびは飛んで月鬼の頭へと乗っかったりすりすりとよっていく、やはり人懐っこいのか完全人嫌いな月鬼にも容赦なく甘えてる。
月鬼も月鬼で嫌がりながらも強く抵抗はしない、ラディッツの目前だからだろう。カリグラは密かにざまぁみろと思いながらどうだった?とラディッツにきいた。
「色々本を見つけたぞ!そのっ、それこそドラゴンの伝承とか……カリグラがっ載ってるやつとか」
「俺?、あー……一時期なっていたりしたからか」なつかしいなとぼやく、変身術を初めて覚えたときにまずはドラゴンになろうとなりよく飛んだりしたものだ。そしてそれこそ、歯向かうものたちには容赦なく攻撃をして火を噴いたりとしたものだ。
隕石も落としたり、扱える自然災害全てを使い滅ぼしたりとしたものだ。それだけではなく再生能力や自然に力を分け与えて再生させたりともしていた。芽を芽吹かせて、花を咲かせて蔦をからませて自然のカーテンを作ったりと本当に色々してきた。
それのおかげか何かわからないが、厄災の神としてだったり生命の神として祀られていることもあった。
「……(色々としていたな)」ぼんやりと過去をふりかえっているとチビがパタパタと飛んでくる。かなり月鬼と遊んでもらえたからで満足していそうだ。
「きゅ!きゅう!!(お父さん!お母さん!好き!!!パパも!!!)」
「…俺はさっき関わったばっかだろうが」
「!オレも好きだぞ!ちび!!」
「…………」過去を振り返ったり懐かしいのはあるが、やはりラディッツがちびにばかり構うのは気にわない。おまけに自分に対してよりはるかにちびへのほうが素直だ。
可愛い、可愛いさ。ラディッツがツンデレしてくれるのも、たまに感情が溢れてカリグラのバカ!と文句言ってくる時もあるがそれすらも愛おしくて可愛い。
だが、ちびにばかり素直になるのはどうにかならないのか?。
「おいジジイ、顔が鬼になってるぜ」
「…これは失礼、少し晒したか?」
「コロりと顔を変えるのもこわいわぁ~…」あーぁ、と言ってくる月鬼を見る限り相当嫌な顔をさらしていたようだ。
だが仕方ないだろ?、ラディッツがかなりちびへと意識を向けているようだから。
「俺のこと忘れてそうだな」ちびのことを抱きしめてギューギューしながら、お昼の準備するか!というあたり。
あんなにカリグラどこ!?と慌ててたのに今ではちびのことめでまくりだ。親代わりとしてはいいかもしれないが恋人のことも見てほしい、と思ってしまう。
「兄貴!兄貴もいるよな!?」
「…あーー、しょうがねえないてやるよ」
「ぷゅ!(パパもいる!)」
「俺がパパなら、あの"俺"はなんになるんだよ……きたらよ」
「さあ?ダディとかにでもなるんじゃないのか」
「(そうっっとう怒ってんな…猫のやつ、親見つけたあとSMされんじゃねえのか)意味わからねぇ~…」わかってるさ、自分が相当切れてることなんぞ。ああ心狭いと言われれば狭かろう、だが本音は心の中で沢山吐かせてもらうと思いながらもちびと仲良くするラディッツの背中を見て低く冷たく呟いた。
「…焦らされたぶん、堪能させてもらうぞ」
