花籠9

その頃には己も契約している魔神との契約も済ませて気配に察知して睨みつけられそうだが、それも楽しみの一つ。
今までからかわれた分をからかいかえしてやろうではないか。大人気ない結構、元々自分は容赦のない性質なのだから。
「お前、猫ちゃんにこれ以上変な事言うなよ。夜のこと、とかをからかってきたらしいからなぁ」
「俺は俺があの雑魚に勃たせてるのが意味わからねえ、と思ってやっただけだぜ?。性欲なんざねえからな」
「……(皇嵐と会ってから自分がかなり性欲旺盛と知るのだがな)」そうだった、過去の自分は本当になかったのだ。性教育というか、まあ最低なものは色々と若い頃のヤラカシから知っていたがとんと自分の欲というものはなかった。
全て知的好奇心にまわされていたのか?、というほどにはだ。あとは加虐心。性欲というものは本当にゼロだった、だが皇嵐と出会い一気に溢れ最初の対面の時に襲いかけた経験がある。
「はぁ…、それも出会いでわかるからいいぞ」
「へぇ、はっきり教えねえのは色々と厄介だからか?」
「まあな」どうせ後々わかるから教えなくてもいいだろう。若い自分は本を閉じてこちらを見て、ニヤニヤと変わらず笑っている。
この男…自分と同じく、さては会ったあとからかう気でいるなと察した。
互いに思っているのだろう、またどこかの歪みでこのように会うのではないかと。
「過去の皇嵐に会うなら……」彼女に感謝を改めて述べたい、今の彼女にももちろん。この化け物を深淵の支配者たる自分を、救い出してくれたということを。
「そこの若いやつと老人!、飯できたぞ」ふと懐かしいことを思い出しているとラディッツが先程の仕返しと言わんばかりに自分のことを老人!、とよんできて思わずずるっとこけそうになる。
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