花籠9

愛おしげにあたたかくつつみこむように、ラディッツの自分にときめいているせいか密かにくる甘酸っぱい香りに微笑みながらぎゅっと抱きしめた。
「…っ、ばか!。そんなの後にしろっ」
「今ではないと俺が補充できないからだが、…若い俺の事なんかほっておけ」
「オレが恥ずかしいんだ!調理の邪魔だ!!」
「はぁ~…、分かった分かった。ならばあとにな」するり、と離れてツンツン気味なラディッツの方へと視線をやれば少し寂しげだ。寂しいならばくっついていたらいいものを、それよりラディッツにとっては恥ずかしさの方が増すのだろう。
「……あとでたぁっぷり甘やかしてるぞ♡猫ちゃん♡」
「っ~…!、それは分かったからっ早く戻れ」ツンツンとしながらも嬉しそうにラディッツは尻尾を揺らす。表情は素直ではなくとも行動特にしっぽに感情が出てしまうラディッツが可愛くて思わず微笑んでしまう。
「わかった、ではまた後でな」そういい席の方へと戻ると未だに若い自分は読書をして本をペラっとめくっては読んでいた。
その姿に過去のことを思い出す、弟に話しかけられようと異星の本を読んだりして無視していた時のことや王の長い話がつまらないとなりこっそりと軍略書や歴史書を読んでいた自分。 あのころはひたすらに知識を貪り新しいことを知ることが唯一の暇つぶしであった。
それ故に何かあって、知りたいことあれば本を読んだりと沢山したものだ。時にはツフル星人に話を聞いたりともしていたのだ。
「(勤勉といえば聞こえはいいがな)」ただ知識が欲しかった、それだけなのだ。なぜこうなる?、どうして??と。気になりだしたら止まれない性分ではあった。
この止まらない知的好奇心によって、両親を殺すことにはなったが。改めて過去の自分を見ると、本当に好奇心が溢れてるやつだと思う。
8/12ページ
スキ