花籠9

「いくら俺だろうと腑抜けて?、あんな雑魚といるやつにオープンにやるわけもねえだろ」
「……」なるほど、それは自分の中でも一理ある。彼の立場で居るならば、ひょこひょこと着いてくるヒヨコを鬱陶しいとはらうことなくむしろめでに愛でてるから不気味すぎるし他人を何よりも拒絶してきた自分が何を今更となっているのだろう。
「腑抜けているわけではないがなぁ…」ただ今までの自分にオプションとして愛を知った、そして生きがいをわかったというものが付属しただけ。それが何よりも大きく、自分の人生を変えるほどのものだったという話なのだ。
「そうかよ、てめえに少なくとも愛なんて教えたのはあの雑魚じゃねえってことだろ」
「…そうだな、猫ちゃんからは癒しを貰っているが」皇嵐とは違う癒し、コロコロと変わる表情や反応はとても可愛く思わず笑を零してしまう。
時折鈍感なのがたまにキズだが…、それすらもラディッツの個性として可愛くてたまらない。ああいつか、自分というかごの中に閉じ込めてしまいたいと思うほどには。
だがそれもいつか、だ……今すぐではダメだ。もっと、もっとラディッツをおとしてからではないと。
「うわぁ、わっっりぃ顔してやがる」
「ほんと若造は細かい所まで見てるなー、その目潰されたいか?」自分のだから治すのも容易い、ほんとこの自分は嫌なとこばかり見てくる。
おおこわ、とかいってくるがこわがってもいないだろう。どちらかといえば面倒だからさけたいという方がおおきいのではないだろうか。
「やだね、俺の身体は俺のものだからな」
「ならば余計なことを言ってくるな」ラディッツの方を見れば恥ずかしがりながらも調理を行っている。
手の動きは変わらず軽やかで恥ずかしがっていようと、積み重ねてきた習性というものは自然に行われる。
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