花籠7

つらつらと語るナエの姿に狂気的でありながらも真っ直ぐな忠誠心を感じた、カリグラと軽口を言い合いつつもたしかに彼はあくまでご主人様とカリグラのことを見ていたようには思う。
だが、やはりそれは狂気的でありそして依存や執着それらを混ぜたようなものなのだ。己を楽しませて欲しい、という強い真っ直ぐな願いをもっての。
「…若い頃からカリグラはお前を捉えてたのだな」
「そうですね、妻に勘づかれるほどには」
「ですが…、妻も僕の第1をわかっていましたし彼女もカリグラ様の侍女として仕えてましたからね」夫婦揃って思ったのだから面白い、彼しか主としたくないと。
夫婦の部屋にズカズカと来たりした若いカリグラに苦笑を浮かべていたが、なんやかんや多少の気遣いはできる彼なのでよく妻の好物を持ってきたりもしていた。
『このお方は…、ただ人を嫌ってるって訳ではなさそうよね』そういい彼女もカリグラのことを受け入れていたのだ。
「…あいつどれだけのヤツらを狂わせていくんだ…?」
「数え切れないほどには、結論……カリグラ様のことを殺したベジータ王もあの人の狂気に怯えて狂わされたものですよ」そう語るナエの顔は能面のようだが、冷たく絶対零度の水のような冷たさを含めていた。ラディッツはやはりこいつは、許せないんだとおもう。
自身からカリグラという男を奪った男のこと、そしてその一族のことも。
「…オレも、人のこと言えんな…」正直ラディッツも思っていた、カリグラのことを殺した運命に対してずるいずるいと。自分も欲しい、もっともっとと。すぎた過去に対して思うのもおかしいものだが、彼の命それら全てが欲しいとなってしまっている。
過去に対して怯えてしまっていても、心は身勝手で勝手におもってしまっているのだ。
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