花籠7

ナエはそのラディッツの言葉に、このように狂わされたものたちがいるなと遠い昔のことを思い出しつつまあ落ち着いてくださいとお茶を注いでだした。
「……んっ」ちびちびと飲む辺り、かなり若いカリグラの色香に当てられたようだ。この光景、カリグラ本人が見たら相当怒るか例え自分だろうと
『俺の恋人に何をした…?』と容赦なく殺しにかかりそうだが。厄介なことになりそうなのにはかわりない。
「……あいつの若い頃って、かなり荒れてたんだな」
「……ええ」少し落ち着いたのかラディッツは、ポツリと言葉をこぼす。やはり若い彼と今の彼のギャップにかなり驚かされていてそうだ。
実際自分が来てからも若いカリグラとラディッツはそれなりに言葉のやり取りをしていた。己の予想通りというかラディッツはギャップに驚きつつもカリグラだから、とどうにかこらえて話していた。
だが若いカリグラにとっては見ず知らずの他人、ましてや未来の恋人となると意味がわからんと思う始末。持ち前の柔軟さと鋭さで何とか理解して環境に馴染んでいた。
「…僕も本当にあの方の家庭環境は知りませんよ、ただそうですね……まああの若いカリグラ様が言われたかもしれませんがやれ弟君放置したりやれ喧嘩しに行ったりと色々とされてましたから」
「その色々にかなり酷いのが含まれてそうな気がするのは気のせいか?」下手すれば己の親父よりかなり暴れていたのではないだろうか、若いカリグラに対して誰かに似ていると密かにラディッツは思っていたが……口調で少し思い出す。
『まだ泣いてんのかァ?、よわむしラディッツ』父バーダックにだ。あの若いカリグラの乱暴な口調に、その割には人を惹き寄せるカリスマ性……少し重なるところがあったのだ。父も下級戦士の中では強く、時には何かと争って帰ってきていた。
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