花籠5

ナエとの話しぶりからサイヤ人のなかでもナエは彼と最も近いところにいたということは分かる。
だがどこか少し距離があり、若いカリグラが無意識に境界線を引いてるようにみえるのだ。ナエが話していた、誰にも本心を見せることがなかった……そのひとつであろうか。
「おい、ここか?」若いカリグラが一つビルを指さす、そこは歴史の資料や一般的な雑誌も置かれている本屋だ。
「ええ、何が好きに見られてみてください…試し読みもできますから」
「長居すると面倒だろ、金は俺の時と変わんねえのか?」
「…まぁ大体は、今のものにもかえれますし」
「ならいくつか買う」
「いやいや、だから歴史的に……」
「てめえが見て、コチラに影響ねえようにしたらいいだろうが」
「おっ、おい!!そんなズカズカと入るな!!!」さっさと進む若いカリグラにラディッツは手をつかもうとするが、思ったより彼の方が早く入ってしまう。
ナエと顔を見合せため息をつくと、相変わらずとぼやく。
「あのお方は……自由気ままというか、なんというか…」
「口調が丁寧になっただけで……このあたりは余り変わらない気もするが…」
「そうですね…、ですがカリグラ様の方がまだ信頼などはありますよ」軽快な音が響く、どうやらナエ宛に時の界王神から連絡が来たようだ。
「何ですか、年増さん」
『それ以外の呼び方ないの!?、ねえっそこにカリグラの若い頃が来てるってホントなのッッ!』
「ええ、今本屋にいますよ」
『本屋!?、書店に!!??』
「はい、そちらにぶっ込んでいた方が大人しくはあるので」
『子供のあやしかたみたいなことをするわねぇ……』
「ガキ、と言うより鬼だろ……あいつ」
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