花籠4

『…おかえり、世界最強のそして最恐の唯一皇帝』神というものはそこまで己たち下界のものに関心を示さない、と勝手ながら思っていた。時の界王神などもいたがあれは生命を尊ぶためのシステムだろと。
破壊神と呼ばれるものたちはそこまで内容に思っていたのだ、破壊するためにもう一度創造するためにはそのような感情は不要なのではないかと。
だがカリグラに接するビルスはそのように見えなかった、むしろ敬い畏怖していたようなかんじだ。それこそ己と似たような下手したらそれ以上にこじれた感情を彼に持っていそうだった。
だが、ああ……そうか。ラディッツはどこか改めてストンと納得した。誰ひとり、おそらく……あの姉妹の母や親友のガイウス以外はみなカリグラを人間としてあるいは個人としてみていない。ナエですらだ。
「(生きながら孤独だったのか…?)」もしや、とふと納得する。あの時の界王神の話でもそうだが、カリグラを恐れるあまり真意などに触れていないようだった。他のものもそうだ、カリグラ本人がみなと距離を取っているといえばそうだが誰しも触れようとはしない。過去のことも。
「…なんだ、突然ぼーっとしやがって」
「いや………お前、寂しいのか?」
「あ"?、んだてめえ急に」
「…ッ先程の言葉、成り果てたとかっそういうのはどこか自嘲してるように見えたからだ。まるでっ、…誰もお前を理解しようとしてくれたものはいないように」ああそうだ今の自分もそうだ、馬鹿馬鹿しい……彼の衝撃的な姿に怖がり一歩踏み出せずにいたのだ。彼の過去も受け入れたい、欲しいとなっていたのに。ひとつの衝撃と言葉、それにより怖がっていたのだ。情けないではないか。今目の前に彼の過去そのものがあるのに。
きっと、カリグラの親友であるガイウスはこの恐怖にすら怯えずそのままを見ていたのだ。
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