花籠3

かなり顔に出ていたのだろう、ラディッツはそれに実はと話そうとするとバキバキっとなにか空間が割れる音が聞こえてきた。
「カリーっ、あれは」音のする方向へとみるとターレスが冷や汗を垂らしあのカリグラの時代へと繋がる穴を見ている。
ラディッツもなぜ、と見上げてその光景をただ呆然と見るしか無かった。周りのものたちや先生をしていた英雄たちも異様な光景に目を奪われる。空間が割れ、赤黒い渦が受付エリアの地面へと刺さった。竜巻のような突風と共に殺意が籠った声が聞こえてくる。
「っ……、なんだここは…ちっ!タバコも湿気やがる」
「え…」
「……おい、なんだてめえらじろじろと見やがって。ったく、ここは惑星ベジータじゃねえか重力も軽ぃし建物も…新しいものばかりじゃねえか」右の前髪をあげ、どこか荒々しい印象を持たせる鋭い感じ。己と似た声を持つが、低くそして乱暴な口調。
だがラディッツは聞き間違えなかった、…そしてすぐわかった。しらないはずなのに。
「カリ、グラ…?」初めて会った時とは違う、だがどこか面影を宿し気高い獣の瞳を持つ男は自分の恋人カリグラの過去だと。
全く印象が違うではないか、今の彼は大人で落ち着きがあり心の壁はあれどどこか優しい感じの目つきだ。だが目の前にいる過去の彼は、なにも許さない何も信じないと言いたげな冷たく鋭い目付きをしている。
「カリグラ様?、うわぁーナエさんのに記されてた通りだ…すげぇこわいな」カリーはタバコを口からとり捨てる若い頃のカリグラをみてこわいなとつぶやく。
着ている戦闘服もかつてバーダック達が着ていたのと似ているが、プロトタイプのようなもので黒メインに差し色がラディッツのものと同じく茶色だ。
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