花籠3

スパァ、と紫煙をはきつつ頭をめぐらせる。そういえば、コントン都におのれの若かりし頃と繋がった穴があるらしいが、どうにかみなみなが上手く塞いでいると話していたな。
時の界王神たちは面倒なことを起こしたくない、とより強くやるだろうからまぁよかろう。自分も徹底したのだ。
あの若い頃の自分が余程のことをしない限りはおそらく…、大丈夫だろう。
「……変な確率をラディッツもひかなければな」いざというときはやりかねない、だが仮に起きてもナエがどうにかそらそうとするだろう。
上手くかれと付き合うためにもひかれたくない、あのような過去を。皇嵐のときとはわけがちがう、彼女は心広くあんな荒んだ怪物の自分を受け入れてくれた。あきれられたりもしたが、頬を撫で愛を教えてくれたのは彼女だ。だから今こうやってラディッツのことを愛せれる、そして己の中にある残忍な心も隠し通せれる(うっかり出す時はあるが)。
「……」愛しているのに、愛おしいのに…このようにしてしまうのは少し己にも後ろめたいものがあるからだろう。
全く、こういう時に月鬼が帰蝶に抱いていた理性を理解してしまうとは随分と丸くなったものだ。彼に持たせている魔王の面を強く持つ己なら容赦なくラディッツのことを監禁し、調教しておとしているだろう。自分も考えたりしたが、まだだと理性でどうにかおさえている。どうせならば、もう少し落としてから深みへと誘い自分と同じものにならせようではないかと。
「はぁ、歳とるとはこういうことか」他人を気遣うとはそして頭を働かせるとは、あの若い頃の自分には無かったものだ…あの時は全てがどうでもよく灰色に見えて荒れてたのだから。
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