花籠3

「今日はやすめ、じじいの過去話にもつきあわせたからな」優しく、心を和ませるような声で彼の声が耳に響く。だが、心做しかその声に氷塊のような冷たさを感じてぞくりとする。
ー探るな、若造がー言われてもいないのに何故かそのような彼の冷たい声が突き放しが聞こえてきたようだ。
「……っわ、わかった」この瞬間、改めて突きつけられる。彼と自分の生きた年数の違い、そしてカリグラが…人間でありながらも人間ではなく万物の恐怖そのものになった男だと。
自分ではダメなのか?、あのラディたちの母親皇嵐には話していたり知っているのだろ。時の界王神たちだってそうだ、いやだが彼女たちはそもそも人間ですらないのか。ガイウスも。
ぎゅうと彼にかけられたもうふをにぎり少し離れて目を閉じる。寝れる感じはしない、でもこのまま彼に目を合わせるとなにか起きるかもしれないと身震いした。
──
寝れそうにない、と思うラディッツの意識を一瞬のすきに深くおとしてカリグラはベッドから離れ窓辺に寄りかかりはるか昔に買ったキセルへと火をつけて吸った。
もくもくと紫煙はゆっくりと上がり、開いた窓からすりぬけて夜空へとあがる。
「…まさか、ラディッツが過去のことなんぞ聞いてくるとはな……」彼には探られたくなくて今まではぐらかしていたが、どうやら上手くいかないらしい。
あいつは突然境界線を踏み抜いて飛んでくる、今の今まで彼の弟孫悟空がしてきたように。それによって絆された連中もいたようだが、お生憎様自分には気がたつものにしかならない。
故に…おのれの弟ユリウスとは距離を取った。逆鱗に触れ、気に食わなかったから。
「…どうしたものか」
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