テッセンの縛り2

その言葉にカリグラは、すっと目を細める。ああ彼にとって触れられたくないとこのだろう、でももうわかっているし返事も分かりきっていた。
こっぴどく振られるのよりいいが。いや今から何か言われるかもしれない……拒絶された方がもうマシか?と思うが心に小さい針が刺さったように痛い。
「……そうか、話を聞いてしまったか。」
「……あぁ、盗み聞きしたのは悪かった。」カリグラはそのラディッツの言葉に溜息をつき、頭をかきはなす。
「昔の話だ…、だがそうだな……俺はまだやつのことを愛している。」愛している、その言葉にラディッツは深く奈落の底に突き落とされたような感覚がする。
地獄なんて生ぬるい、それくらいに心に傷がついた。だが変に隠されるよりはマシだ、隠されたらこんな大人しく話を聞いていられなかっただろう。
「……そう、だよな。お前がこのような仕事をするくらいには愛しているのだろ?」ああ声が震えてしまう。胸がキツイ、その現実が彼がただ一人の男として見つめるのはあの女ひとりだという現実に。
「…悪いな。」あのカリグラが謝ってきた、自分が惨めに思えるし彼のことを恨みたいと口から黒い百合の花が出てくる。
呪いたいさ、彼をとる女も彼も。でも、だが不思議と憎めない……カリグラのことを。
「やめろっ、オレがっ惨めみたいだろ……ケホッ」そうやって背中をさすってくるのも孫みたいだからか?、そんなに優しく見てくれるのに。自分のことは視界に入らないのだろうか。
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