「…あんなに荒れていた男の子が、まさか皇帝にもなって庭いじりが趣味になるなんて…」鈴の音のように笑う皇嵐の声に少し照れて、目を逸らすが自分もまさかそんなものがハマると思わなかった。
意外と凝り性ではあるから、型にハマればやってしまうだろうと予想はしていたがこれが思ったよりで今ではかなりの大きさの庭園になってしまっている。
育てる花も温暖なものから寒暖なものまでと様々、皇嵐に合うなと思い集めたらとんでもない量になったのだ。
「全て、皇嵐に合うと思ってだがな……お前のようなものを見るとめでたくもなる。この庭も何もかも、お前に向けた花束だ」
「言葉が上手いわね、カリグラ。それは今世の「お前以外考えられないと何度も言っただろっ！」！？」ここに来てもなおか、とカリグラは思い思わず感情をそのままぶつける。柄にもないことをして、くだらないと吐き捨てた未来の自分のようなことまでもした。
あの男が何故、出会いを大切にしろよと言ったかもわかった。ここで、彼女のおかげで人の温もりを感情を化け物が知るからだと。
どれだけ彼女の為にとしたことであろうか、他人のことを考え慈しむなんてかつての自分からは考えられない。
未来の自分の恋人のラディッツと呼ばれるものを痛めつけて、未来の自分をこさせて激しいぶつかり合いをして戦い生きるということを噛み締めた自分が。
皇嵐を見て生きたい、と強く願い彼女のために何でもしてあげたいと実直に思うなんて。だがこの女には伝わらない、いや伝わったとしてもそれはまやかしだと投げ捨てられてるのだ。
なぜだ、なぜこうも伝わらない…どうしたら伝わるのだ。
「皇嵐…っ、藤の花言葉を知っているか？」とあるところで聞き、ああこれは今の自分だと思い占めた言葉。
「佳客、かしら？」