人であった貴方、私の為にと人をやめた貴方

低く、甘い香水のような声が私の耳に届く。
なんで、どうして。先程までのはどこにいったの?。
男の子ってこんなに変わるものなの?、それとも人間が不思議なのかしら。
「耳元でやめなさいっ」
「嫌ならば人を呼べばいいではないか…、ああだがそうだなお前を取られるのは癪だ」
「なるほど、これが嫉妬か……。ああ全て消したくなるな俺とお前以外」
「なっなんでっ、そんなにっっ」
「好き、だからな。事実は小説よりも奇なり、ともいうがどうやら俺はかなり皇嵐…お前に惚れてるらしい」
「何よその面白そうに笑ってる顔っ、あなたと私は会ったばかりっ!。しかも神と人間よ!!!」そう、そんなの禁断のもの。そもそも本来…あまり神は人間に関わってはならない。
迂闊だった、気になったり…阿乱たちのことが気になったりしてきてしまったのだから。もうこのようなことはしたくない、しかも私は原始のもの……始まりと言ってもいい。こんなに綺麗な人に気高い獣に目をつけられてしまうなんて。
「人間、俺が……?。ふふふっくくくっ……あーっははははは!!!、俺が!?人間か!。いやはや面白いな、面白い!!」子供のように彼は笑って私に教えてくる。彼は、今の今まで人間として扱われてこなかったこと。
そして彼の名前は、古代の言葉で『悪魔の子』という意味を持つことを。我が子につけるとは、よほど彼になにかあったのかしらとおもった。
確かに彼は人を超越したものを持っている、でもそれは……原始の私からすると違う。あくまで生物としては人間なの。
「っっ!」ぎゅっと彼は私の手を強く握り、その黒い瞳を私に向けてくる。そして恍惚な顔をして恐ろしい言葉を吐く。
「であれば……、俺が人をやめて王になればいいな?。皇嵐よ」
6/8ページ
スキ