見守り

彼女を愛するあまり、己の身を投げ出した我が友。やつにとっては彼女にとってのいい選択肢を選んだ、というものなのかもしれないがどうなのだろうかと。
「……考えるのをよそう」あやつはあやつなりに考え、選択したのだから。
今の所ラディッツたちはなんとかやっていけてそうだ、さて……それならばあのもう1人のカリグラの器のとこを一目みるかと余は考えた。
───
ひさしぶりに後悔、という感情を味わったと思う。慟哭、と呼ぶには虚しくも寂しい声が響いていたからだ。
「帰蝶ぉぉぉーーーーッ!!!!」あの青みがかったラディッツと同じ髪色をもつ青年……、ビクビクと目を痙攣させ見る先には皇嵐様の欠片を持っていた女を見ている。
「なっぜっっ……!?」うっかり言葉に出てしまうほどの衝撃だった、あのラディッツとは違いこの青年はカリグラの器は目の前で愛しい女を失ったのだ。
「離せッ!離せッッ!!」息をあらげ、青年はどうにか助けようと動かんとする。
だが腕に手錠をつけられ力を封印される、あれは……カリグラが死んだ原因のあの銃と同じ力を持つものだ。青年は恐らくラディッツと比べたらカリグラの力も使えるであろう、だがあの手錠をつけられればさすがに抑え込まれる。
強く、それこそやつが本気を出さなくては壊せないほどに複雑で恐ろしい運命が絡まっているのだから。
どうにか助けなくては、そう思う時には遅く因果の力か余と彼の間には透明な壁ができていた。
「クソぉっ!!!、カリグラッ!」次は、次は目の前で友を友の魂を持つものを失うのか?。
魂を持つものは赤黒い炎に飲み込まれていく、身体を焼かれさながらかつてあった魔女狩りのように…。
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