見守り

それすらを凌駕し世界に愛される才能はあるのだろう……。
「ほんに、羨ましいおとこだ……」これがいわゆる夢物語の主人公というものだろう、とよくわかる。
生まれにも何もかにも恵まれて………、なぁカリグラ。余とそなたとはちがうよな。愛され、敬われる存在のこの男は。

また時が過ぎた頃、ラディッツがかつてカリグラに支配された異星人たちから殺されかけていた。体の一部の骨は折れ、肺はボロボロになりもはや虫の息だ。
「ラディッツっ……!!!」さすがにこれは死ぬ、カリグラの思うとおりではない!と駆け寄ろうとしたとこ亜空間が生成され突風が巻き起こる。
これは、この色は……カリグラのやつだ。
「カリグラ、そなたっ……!?」すぐに亜空間は解かれその出てきたものの姿に目を見開く。
おなごが羨む黒髪の長髪に、銀色の角……赤いマント。カリグラだ、紛うことなきカリグラだ。
「……カリギュラ、おまえ…」間違いない、カリグラだ。だが、余の仲良くしていたものの半身のだ。
「……そなたとの約束を守っておっただけだ、カリグラっ」一筋涙が流れた幾年ぶりかはよう分からん、だがこの親友の姿を見て涙流さずにはいられなかった。
「泣くなよ…、俺も俺でこう出るつもりはなかったのだからな」余の涙に触れてきた手は冷たく、死者のものだとおもわせた。だが奥底にある暖かさと余への気遣いの心は間違いなくカリグラの色を持っていた。
「…ほんに大馬鹿者が、器のことを気遣ってわざわざこう出るバカはおらんぞ」
「さすがにやばいな、と思ってな」肩を竦めながら言う姿はあの時と変わらん、だがどこか歳を重ねて以前より落ち着いた姿に余とカリグラの時は流れているのだと認識させられた。
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