見守り

だが、ながく悠久の時を生きてこられたこのお方には忘れ難い記憶というものがあるのだろう。それが他ならぬカリグラのことだ。
カリグラ、そなたはどうみるのだ。最愛の最初の女が、そなたのことを忘れず生きている光景を。これはまるで呪いであり、呪(まじな)いだ。
自分のことを抱え、生きろという……カリグラそなたはそうさせたかったのか。
友の底知れぬ執着と愛情の深さ、このひと時の為にと我が身を投げ打つ大胆さに驚きながらみているとうっすらとまた友の姿が見えた。皇嵐様に後ろから抱きつき、くっつくすがたを。
自分が直接守れぬことからのはがゆさかはては堪えきれずせめてこれだけでもというあさましい男のおもいからか。
「相も変わらず食えぬ男たちよ……」ラディッツが皇嵐様に話しかけると、すっと消えていきさがった。
何も知らぬラディッツに余は愚かだという思いと…このカリグラの執念を知ったらどうなる事か、という好奇心の気持ちが溢れてしまう。
そうしてると部屋の電気が消えた、ああこれはふたりがむつみあおうとしてるのだろう。コレは無粋だな、とおもいさすがに余もさがり空を飛び星の光景を見る。
遠くで紫光る光線が見える、どうやらあれは惑星ベジータの王子が訓練をしているようだ。
「……才能はあるな」地面がえぐられたあとが無数あり、何やら技の練習をしているようだ。
遠目からで豆粒のように見えるが、そのからだから出る闘気はまさしく本物でほとばしる力は体をめぐりパワーを放出している。なるほど、これは王子という器には事足りる。だが、まだだ。王としての気概は遠くやつには足及ばん。
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