見守り

それでいえばカリグラは、破滅と創造どちらともやっていたと言っていい。
だがいまの帝王は……、己の権力と恐怖を示すのに集中しているようだ。
ラディッツはそのようなやつにつかえて、なにをしたいのだ。
「主は、強いものに仕えてある程度生きて行けたらいいと考えてますよ。そこだけは」権力の強いもののそばにいたら、皇嵐様のことを隠せますからねと國重は話しかけてくる。
なるほど、やつはカリグラのような野心と言うより皇嵐様と共にいることを中心にしているようだ。
「……奴のような野心は無いのか、つまらんな」
「皇嵐様がして欲しい、といえばあの方はしますよ。少なくともあの方を手に入れるための欲望は底しれません」神を手に入れ我がものにしようとする、そこは同じなのかもしれない。
余はそこで改めて自分が、カリグラの影を追い求めてることがわかってしまう。
「……歳を重ねるものでは無いなぁ、あの男の影を余はどうしても追い求めてしまう」
「気持ちはわかりますよ…不躾ではありますが、俺様も主の姿に信長公を重ねてしまうので」そうか、カリグラのあの器は生まれ変わりは昔のものたちに懐かしい思いを駆り立てさせるのか。
だが、なるほど…遠目から見る限り一瞬ふとした瞬間もう見ることがないと思った友の笑った顔とおなじ表情をすることがある。それも、ホント一瞬に。
「不思議な男だ……、つまらぬと思わせながらも…カリグラと、同じ顔や表情をする所がな……」関わらぬと決めたのに少し揺らいでしまうほどに似ている、だが今はこの悪魔がそばにいるからよかろう。
余がただ願うのは、蹂躙する帝王に支配されることも無く愛しい女と幸せに暮らすことだ。
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