見守り

だからか友というものも少ないように見えた。
しばらく眺めていると、友の家来の子孫…カリーという男がラディッツに注意をしていた。あのぶっきらぼうな男に似ず感情がわかりやすい男だ。
「平和だな…」今は、あの時の己たちが生きてきた過去と違って平和だ。
だが己はわかっていた、この惑星ベジータの未来が決して平和に終わることが無いことを。
幾度か時が過ぎ、葉の枯れ果てた姿も見送り生命の息吹も届けた頃ついにやつと皇嵐様の別れが来た。
離れたところから己は彼女たちを見守る。ラディッツの方は必死に彼女に想いを伝える、その姿はやつが…皇嵐様に最期にみせたであろう姿を彷彿とさせるものがあった。
ふと、視界の端にうつる存在に目を奪われてしまう。宮殿のところ、号令をかける所にいる存在……
「カリグラ……!?。」間違いない、霧がかったように見えるが間違いないあの角に特徴的な髪型。
余のアミーコ……カリグラだ、なぜそこに。そうか、ここはカリグラの庭園だ…やつの力が密かに眠っていてもおかしくは無い。幻影なのだろう…。
『ラディッツのこと任せた、カリギュラ』声が脳裏へと聞こえてくる、ああこの夏の星々のようなキラキラとした声色。低く、遠くまで届く音…カリグラそなたは今でもいるのだな。ほんとにそなたは簡単なように言うてくれる……余も大変なのだがな。
だが昔と変わらないそなたは、威風堂々とし皇帝とした毅然とした姿は。
「…分かった、余の友よ。」そなたの言う通り見届けていこうでは無いか。
余がこの者を……ラディッツというそなたの御霊をつぎしものの魂を。
「出会った時は覚えておけよ、つけはでかいからな。」
3/21ページ
スキ