永久に勝てぬ敵

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記憶の海からあがり、最後見たカリグラの達観した笑みを思い出す。あれは、いまおもえば万が一を覚悟しやり切ろうとした男の顔だ。
実際カリグラは、全王のこともなんのそのと相手してすべての宇宙を時空を支配してみせた。それぞれのとこで、歴史に混乱を招かないためと名前も変えてたりもしてたらしいが…あの男らしい。立つ鳥跡を濁さず、濁った水すら綺麗にして彼は歴史からひいたのだ。
ー絶対なる皇帝ー、その言葉を刻んで。
皮肉な話だ、そんな覇道と邪道を進んだ男の生まれ変わりは…己より弱いはずの弟に殺されその弟は英雄として今生きている。第7宇宙の最強として。
「…カリグラの弟は、あんな律儀にしてたのにね…」確かに強くはあった、だが兄の輝かしい光のあまり目立たなかった。その兄が封印され闇におち染った途端とは…、皮肉な話だ。
カリグラ、きみはそれをどうおもうんだ。彼のことだ笑って、『愚弟でもやる時はやるのだな』とか言うのだろう。彼が死んでから歴史の歯車が整う為にと様々なことが起きた、自分も結局フリーザに頼んだとはいえ惑星ベジータを滅ぼした。もう、カリグラという最強で才色兼備の皇帝はいないのだから。あれは自分なりのレクイエムのつもりだ。彼へと送る、鎮魂歌。
「…そうですね、悟空さん微かにあの人に似てますが…カリグラさんほどの頭の切れはありませんね!」
「はぁ、あんな頭のキレる男が沢山いたら困るよ…。本当悟空も嫌味だよね、兄より強くなるなんて」
「お兄さんの方は…、カリグラさんが強すぎたからでしょ。ですが、見てみたくはありましたよ…私も」
「カリグラの生まれ変わりが、カリグラと同じようなことをすることかい」
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