永久に勝てぬ敵

突風が吹き渡り、ウイスの服と髪が激しく揺れる。周りの森林の木はへし折られていき、暴風とともに遠くの街へと襲い掛かる。
バキバキ!、と遠くから建物が折られ飛ぶような音も聞こえてくる。
ビルスは飛ぶ鷹のごとく上へとび、破壊玉をいっきにつくりはじめる。小惑星サイズのものが幾つもだ。空をおおいつくし、熱い眩い光があたりをつつみこむ。ジリジリとウイスの肌を熱線が突き刺していく。オアシスのような水も干上がりはじめた。
やり直しを、とウイスが杖を構えようとしたとこをすっとカリグラが阻止する。
「…今はやるな」この男、自分の能力も把握していたのかと思うと目線を向けてふっと微笑んでくる。
「…味見だな、ここからは」
「いくら君でもこれは止められないだろっ!、カリグラッッ!!」ビルスの轟くような声が聞こえてくると同時に無数の玉が襲いかかる。周辺住民達の悲鳴も聞こえてくる、もう終わりだと。自分たちは死ぬのだと。
だが、カリグラは相変わらず余裕の笑みを崩さない。むしろより勝ち気になり、パチンっとまた指を鳴らした。そしたら彼の後ろから、惑星の空を覆い尽くすようなサイズの怪物が出てくる。
鋼鉄の鱗をもち、鰐や鮫が合体したような見目をもつ怪物が。それにウイスやビルスはなぜ、とはっとする。
「レヴィアタン…!?」聖書にも出てくる怪物の悪魔、目の前にあるものをひたすら飲み込み破滅を呼ぶものだ。上級の神ですら手こずる怪物。
そう易易と人に従うものでもなく、上級悪魔のひとつと言っていいものを彼は従えていたのか。しかも召喚の呪文を言うことも無く手なずけている。
16/23ページ
スキ