永久に勝てぬ敵

幼い頃から…、この男どれだけの才能を持っているというのだ。
殴られた矢先のところで大河があり、水面が割れながらこの悪魔との鬼ごっこが開始する。
水鳥やどのものたちよりも素早く、鋭くカリグラはビルスをおいかけ光線やラッシュを避け重いカウンターをくらわせる。
「一応相手は破壊神だ、これ以上攻撃を食らうつもりはないぞ」
「そうかい…!」重低音が辺り一帯へと響き渡る、それは宇宙へとも響き聞くものたちによっては終末の雷鳴のように聞き取れる。
まさに今行われてるのは、神と神。それも老年の百戦錬磨の神に挑む、若き歴戦の神なのだ。
「カリグラ…ガイウス…」ウイスは、ぽつりと若き歴戦の男の名前をつぶやく。この男…、本当に生まれるべくして生まれたのだろうか。
世界、運命、というものには確かに1000年に一度の周期で主人公と呼ばれるものたちが登場する。まさに御伽噺の主人公、世界に愛された存在が。
だけど、この我が主人と戦う男は。…世界に愛された、と言われるようには見えない。むしろ世界を呪い、呪われ、嫌い、嫌われる…そのような存在に見えるのだ。故に悪魔と契約し俗に言う魔王のようなものへとなったのだろう。
だが、だが目が離せない…この男の行き先を見てみたいと天使である自分が思ってしまう。それほどに目が惹かれるのだ。紅蓮の炎のように揺らめくマント、純黒という言葉でしか表せられない美しい黒髪、そして時折見える鋭い白い牙と…赤の瞳。どれもこれもが惹き寄せるものとしてみえる。
そして、あのビルスがついに…長く生きてきてついに恐怖というものを知ったのだ。目の前の男によって。
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