永久に勝てぬ敵

皮肉なのか、果ては偶然なのか……ビルスはここを選んだようだ。
確かここから離れたところに、人が住む街もあったはずだ。この星は広大で、様々な温帯の生物や植物も多い。いずれ支配したいとも思っていたところだ。
「ほぉ、ここを選ぶのか?。オマケに人から離れたところ…惨敗する姿を周りには知られたくないか?。」くくっ、と目を閉じて軽く笑うとビルスはその顔を歪めて違うよと告げる。
その声は水深くの深海の水のように冷たくそして重圧を与える。周りの雰囲気もざわつき始める、傍にある森はザワザワと揺れ己たち生命の危機を察してるようだ。
常人なら先程のビルスの声で、命の終わりを感じて命乞いをするであろか。どれだけの強者であろうとも、だがカリグラは違った。その微笑みを崩すことがない、ビルスのことをその双方違う瞳で見て毅然としている。
「…ほんと、君が物分りいい子なら良かったけどね…。ここを君の墓標にしてあげようとおもう、ボクの優しさだよ…カリグラ。」
「お生憎様、葬式屋に生前葬を予約した覚えはないぞ墓石の予約もな。名前でも間違えたか、ビルス。」年寄りのボケかー?、とケラケラとカリグラは笑う。
「勿体ないからな、ここの星…俺がもらうぞ。 」
「キミがボクに勝てたらね…、そういう話は終わってからするものだよ。」
「事前予約の仕返しだ、ビルス。さて、先攻はお前からしろ。ビルス」くいくいっ、と左手の中指をたててうごかしカリグラはいう。若い王のその行動は破壊神の逆鱗に容易く触れるものであり、ビルスも構えた。
今までの行動からしてもこの男に容赦をしなくていいのは明白だ、この若造の歪んだツラを拝んでやろうでは無いか。
10/23ページ
スキ