貴方の髪色

付き合い初めてしばらくの時が経った、皇嵐はラディッツと住みながらもゆっくりと時を過ごしている。
神である自分と人である彼とは価値観の違いというものも感じる時はあるが、ラディッツはこちらへと会わせてくれようとしていた。想像以上に紳士的で、家事も率先してしてくれて驚くばかりだ。

「俺が持っていく、皇嵐は座っていろ」
「あら…、食器くらい私運べるわよ?」
「今回はお前が調理してくれただろう?、片付けは俺がする」

少しぶっきらぼうな言葉を投げかけながらもなるべく負担は均等に、とラディッツはしてくれていた。その度に家の電気に照らされるラディッツの髪の毛、白灯に照らされてやっとわかるがラディッツの髪はどこか青みがかっていた。
群青色のような、そう夜空の青みのようなものだ。皇嵐が好きな色、キラキラと輝いていて彼の中に宇宙が宿っているような。

「(ほんといつ見ても綺麗ね…)」

鬱陶しそうなほどの長髪なのに、不思議と邪魔とも思わないむしろこの色を堪能するためにはいいものだと思ってしまう長さではないか。
天界からよく見る星々の集まり天の川のよう。ああだが──彼の前世たるあの男カリグラとは全く違う。
2000年以上前に確かにいた全てを支配した皇帝カリグラ、彼はサイヤ人特有の黒髪を持っていた。だがその色はほかのサイヤ人と比べても違ったのだ、その黒さが。まさに純黒、全てを黒に染めるような色。純粋な黒色で、女神である皇嵐でも羨ましがる程のだ。
サラリと赤いマントに流れた黒髪は、目で追いかけてしまうほどに綺麗でたまらない。彼の髪の毛も触れてみれば芯があり、触っていても飽きないほどだった。髪の隙間からはカリグラが好んでたいていた伽羅の香りがしてきていたのだ。

「……(生意気からも似た香りがするけど、どこか爽やかなのよね)」
「皇嵐?」

皿を洗うラディッツのそばによって、ひと房髪をすくう。ああ彼とはどこか違う触り心地で、あくまで生まれ変わりであり他人なのだと理解してしまう。
どこか寂しい心地がしてくるが、今は今のラディッツのこの心地がいい。

「どうしたのだ、急に…」
「ふふっ、私ね。あなたのこの青みがかった黒髪が好きなの、ラディッツらしいというか……夜の光を宿したような髪色が」
「髪色??」
「ええ、あなただけの色よ。生意気」

ラディッツは皇嵐からの言葉に耳の先を赤くしながら自分のを見る、確かにベジータたちと比べて己のものはどこか青みがかっている。あまり気にしてみたことはないが、なるほどほかのサイヤ人とはちがう。

「…おまえがすきならいいか」

別に気にするものでもないかと言いたげにラディッツは皿洗いを再開し始めた、好きにしろと告げて皇嵐にさらに触れさせていく。
皇嵐はラディッツのその言葉にまた面白くなって笑いながら埋もれてラディッツの大きな背中にもたれかかった。

「ほんと、あなたは私に甘いわよね。生意気」
「惚れた女に弱くて何が悪い、皿を洗い終えたらまたお前と映画でも見るか」
「あら、それもいいわね。ターレスたちから分けてもらったお酒でも飲みましょうよ」
「…そうだな」
「フフフッ、あなたもたくさん頑張っているもの。たまにはね?、ふたりで過ごしましょうよ」

ラディッツは口に薄く笑みを浮かべながらこたえた、自分のこの髪のことなんぞどうとも思っていなかったが…惚れた女が喜ぶならそれはそれでいいかもしれないと思いながら。

宵闇の色を宿した男と原初の女神のお話
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