一番星のしらせ
あたたかな ゆりかご 星の光 喜びよ
今も 見つめた 瞳 共にいよう おそれず
夢から 覚めても───……
野薔薇城から女性の歌声が聞こえてくる、薄暗く寝所のような空間から。その声を静かに一線切るように黒い霧があらわれて卵を抱える女性……マレノアの後ろへと回る。
「変わらず子供にその歌をうたっておるのか…?、マレノアよ」
「嗚呼!……カリグラさま、お久しぶりでございます。アスラの義兄さまには会われたのですか?」ぬるりと現れた黒い影の正体……我が母マレフィシアの知り合いにしてアスラの親・始祖の契約者…皇帝カリグラだ。
マレノアにとっては強者たるものの態度、そして王たるものの姿勢について教えてくれた1人なのだ。その原初の神たちとの契約の証たる角は神々しく輝き赤い瞳は紅玉のよう。
マレノアの顔は少女のように柔らかくなり、彼を見つめている。
「…いいや、先程こちらに来たばかりだ。子供を起こさせてしまうかもしれぬと思ったが……一目、お前の顔を見ようと思ってな」
「フフフッ……相変わらずお優しいお方、昔から変わりませんね」
「何を申すか……あの始祖の愛し子たちたるおまえに敬意を表してるだけだ…"夜の祝福を"」そういいカリグラはマレノアが抱えるひとつの大きな卵に暖かい赤い光の玉をいれる、昼と夜全てを支配する皇帝からの祝福。
マレノアはそんな彼を見つめながら、優しく微笑んだ。それはひとつの国を支配する女王と思えないほどに優しく、1人の女性のよう。マレノアは目の前の男にかつて恋をしていた、幼馴染で臣下であるリリアたちと遊んでいた時にマレノアは崖から落ち死にそうになったことがある。この時は恥ずかしい話ではあるが、魔法で助かろうとする前に崖から落ちるという衝撃がでかく上手く魔力を扱えなかった。もう間に合わない、その事実から目を閉じ死を覚悟した時カリグラが己のことを優しく抱き抱えて助けてくれたのだ。
『あなた、は……?』黒く長い髪の毛に紅玉の瞳…片方は黒くブラックダイヤモンドのよう。
おとぎ話に出てくる王子様とは違う眉目秀麗な男にマレノアは心を撃ち抜かれていた、明らかに自分より強い力を持つ男。…そして少女である自分を気遣い、優しく受け止めてくれた人に。
『随分とお転婆なお姫様がいたものだな……気をつけなさい』よく見れば腰に茶色のしっぽがある男、初めてこの時血液の激流を感じた。頬が赤くなり、そして心奪われるという表現があうような事象にあったのだ。
本能とは理性が動くより早く動作してしまうもので、マレノアはこのあとカリグラの手にずっとしがみつき『私の番になりませんか!?』と声をかけてしまう。
今思えばなんて大胆なことをしたのだろう、と少し恥ずかしい心があるがそれすら出てしまうほどに目の前の彼が好きだった。彼に振り向いてもらう為にとたくさんの魔法を覚えて、彼が求めるような魔法石まで用意して求愛をした。
──今はもちろん夫となったレヴァーンを愛している、そして彼が今愛でてくれている赤ん坊のことも。
「(彼に恋をしたのはいい思い出……)」女王として誇りある日々を彩ってくれた、辛い勉強や特訓もいい思い出だったと言えるほどに。
「それにしてもカリグラ様が来られるとは……いつぶりでしょうか」
「そこまで時期はたっておらんな…、いや数ヶ月は経ったか。お前たちが、人間と争いそうになってるときいてな」人間、その言葉にマレノアはぴくりと眉をひそめてその美しい顔を少し歪ませる。
彼は何かを察したのか溜息をつき、レヴァーンが赴いてるのだろう?と言葉をかけてきた。
レヴァーン…夫である左大臣は今人間の国に赴いている、しかもその国はマレノアいやドラコニア一族にとっては長い因縁があるところだ。
相手の国はマレノアにとって義兄にあたるアスラーン、その故郷たる暁闇の国このツイステッドワンダーランドを作り出したと言われる始祖の大国を滅ぼした原初を先祖としているものの国だ。
人間たちにとっては長い歴史の中のひとつの出来事だが、妖精の一族にとっては直近にあった残酷な歴史といってもいい。
マレノアは許せなかった、のうのうと我が義兄アスラーンを追放し『オルカ(死神)』とあざけ笑う一族が平々凡々と生きてあまつさえ希少な魔法石を湯水の如く使おうとしているものたちを。一度は許し、今後とる時は許可を取るようにと話した。
だが、人間共はそれを聞き入れなかった。どころか子供を作り、子孫を反映させアブラムシのごとく巣食いはじめる。だから許せるわけがなかった…、だがレヴァーンは『もう一度話し合いの場を設け話さないか』と提案をしてきた。夫の言葉なら、と思い見送ったのである。
「……我が子のためにも、人間から学ぶことがあるのも事実。そのためには話し合い、かつてのように手を取り合わないかと……ですがアスラの義兄さまの身に起きたことも事実。私はそれが許せないのです」
「だが母となった今ではその身一つではない…、ゆえにレヴァーンをおくったか?」
「……ええ、私一人の身ではない。私は夜の眷族の女王となりました、もう昔のように自由に飛んで跳ねて……カリグラ様のことを追いかけることも叶わないので」
「ふふふっ、その割には自由に思うがな?。…子を持つ親は強いときく、お前も忍耐を覚えたのだからなかなかだぞ。過去を懐かしむなら、昔のようにおんぶしてやろうか?マレノア」
「そのようなことをリリアたちの前では絶対言わないでくださいませ…!」
「言わぬさ、今のは……寂しい思いをしているであろうお前を慰めるためのものさ」そういい彼は昔のように優しく頭を撫でてくれる、今となってはこの彼の優しさが父祖のように思えてならない。
ああなんと優しい手つきなのだろう……、夜の帳のように包み込みまとう衣のようで。
「…嗚呼、貴方こそ最も美しい王なのですね」
「何を申すか、夜の眷族の女王よ」
「……カリグラさま、お願いがあります」
「なんだ、申せ」これはそう…野薔薇城の城主としてではなくただひとりの女として母としての願いだ。
マレノアはこれが最後だと1粒涙を流し、卵を改めてカリグラに触れさせる。
「──私とレヴァーンに何かあった時は、リリアと共にこの卵をお願いします。我が子マレウスを……あなたのように一等星の輝きを持つ王にしてください」
「……」
「カリグラさま、貴方が人の子の持つ愛や我々のような真実の愛などに悩まれてたことは分かります。ですが、あなたはそれを覆すような自信と誇りがあられた──このマレノアが認めるほどにお強い」
「どうか、暗い夢を見る子を導く光のようにしてくださいませ。リリアとあなたならば出来ます…」
「何を申すか、仮にも女王が「これはただの"マレノア"としての願いです」……」あなたにとってこの願いが重みになることはわかっていました、ですがどうしてもしたかった。
王として誇りに満ち溢れ、同時に凶星たる強さを持つ敵を屠る強さを持つ我らが王に。この子もきっと、マレウスも自分のように彼をあこがれると思っているから。
「私たちと人間の戦に貴方様の手は不要でございます、……ですがマレノアとしてこの子のことをあなたに頼みたかった。もちろん、そう易々と死ぬつもりもありません…生きていれば貴方様が王たる姿勢をマレウスに教えてあげて欲しいのです」
「…お願いします、彼岸の君・カリグラさま」
「…はぁぁ、お前との付き合いがある断れぬではないか。いいか、人間は強い…お前が想像しておる万が一は起きかねない」
「だが無駄死にはするな、子らの為にも…なによりマレフィシアも悲しむからなマレノア」
「わかっておりますわ…ふふっ!彼岸の君はやはりお優しい……」
「付き合いから断らぬだけだ、ドラゴンを育てたことはないぞ?」
「何を申しますか、私にはその姿勢から王たるものについて教えてくださったではありませんか。……だから、ねカリグラさま」
「マレウスにもお願いします──、義兄さまも貴方様のこと評価してますから」
「…何かあった時は、だ。俺にまともな子育てを求めるなよ?、教えることは慣れてるが子育てには慣れていない」
「良いですわよ!、マレウスも貴方様にビシバシ鍛えてもらって強くなるでしょうから」そうこう話しているうちに城の中にリリアと様子を見に来たアスラーンが現れる。
どうやら国境の警備をふたりで行っていたようで、マレノアの様子を心配してのようだ。
「…げっ、カリグラ……さま。何しに来たんだい?」
「カリグラじゃないか!、数ヶ月ぶりか??。なんだ卵の様子でも見にか?」
「…お前たちか、騒がしいのが来たな」
「騒がしいとはなんだい、マレノア。この大うつけから離れたまえ、卵にも君にも害あるよ」
「ふふふっ、お久しゅうございますアスラの義兄さまにリリア。…防衛、ありがとうございます」
「ついでのようなものさ……ったく、ご面倒な男が本当にいたね」
「先程から失礼ではないか?、アスラーン。また茨でしばかれたいか」
「結構だよ、君とのやりとりは不毛だからね」つかの間の休息だった、戦火がくる嵐の前の静けさでもあった。
ああ願わくば、この幸せが長く続けば──と思った。
「…カリグラ、人を踏みながらなにほうけてるんだ?」久しぶりに恋人に訓練をつけてやろうとカリグラは精神と時の部屋に引っ張り出していた。
ココ最近はフューの動きも活発化して騒がしい、『ねえねえ!カリグラ!!。よその世界にも行けるようにしてみたんだけど、どうかな!?』と絡んできてあの世界の歴史に少し触れたりしたせいだろうか。
結局マレノアは…夜明けの騎士によって討ち取られた、夜の女王らしく立ち塞がり子供たちをまもりきってみせたが。死んだのだ、死ねば何も語れない。リリアはしばらく呆然として見る影もなかった。
アスラーンはちいさく、だから言っただろう…といってマレウスの卵をずっとリリアの代わりに抱えてたりもしたらしい。
そのあとマレウスはリリアのマレノアが授けた男の真実の愛で孵化した、そのあとは約束通りマレウスに時々帝王学をおしえ魔法を授けた。かつてマレノアも使用していた魔法領域も、マレウスはマレノアとも似ていたが…きえたツイステッドワンダーランドの始祖共にていた。
人を愛し、失敗から学び人と人の手を取り合わせて不器用ながらも導いた始祖と似ていた。それはアスラーンも思っていたらしく、『……あの人のように死なせたくない』といいマレウスのそばで見守っていた。
「……いや何、お前を見ていると不器用なむかしの知り合いを思い出してな」リリアたちを思い出すとは、己も歳をとったものだ。
あの世界には時間をいじっていってたため、どのくらい時が過ぎてるのだろうか。マレウスは大きくなったのかもしれないな。
マレウスは生まれる前にレヴァーンを実父を亡くし、母もなくした。そのせいか己のことを父親のように慕いよちよちと着いてきていた。
「…いや、ラディッツよりは賢いか調子には乗らなかったし」マレウスは勤勉だ、マレノアのように人を少し毛嫌いするとこもあったが始祖のように慈しみ知ろうともしていた。
『カリグラよ……人とはなんと、不器用で愛おしいことか』黄昏色の声を持ちそう話す、始祖を思い出す。長い髪をゆらゆらと揺らして、赤く輝く夕焼けの瞳でツイステッドワンダーランドをみていた。
「そんなに思い出すなんて、歳か?。カリグラ」
「歳ではあるが言い方が失礼だぞ、猫ちゃん」ミシミシっ!と音が鳴るほどにラディッツのことを地面に埋めつついえば本人は発狂するが、そんなこと知るか。
フューの粋な計らいであろうか、こんなことをおもいだすなんて。
あの世界には死んだ後から行っていない、そもそも時の界王神から『あなたしか出来ないの!』とか気持ち悪く媚びられてるし利用もされてるのだから行く暇もない。
だがまぁそうだな、今度行ってやるかと小さくぼやく。
「そのためにはどこぞの猫ちゃんがもう少し強くなってくれたらなぁ~」もしかしたら……リリアが亡くなる前の虫の知らせかもしれない、アスラーンは不老不死のようなものだ。
何度死んでも生き返り、不死鳥のごとく蘇り原初らしく人を導く。リリアはあの一件からマレウスの卵のあたりから魔力をかなり減らしてしまっている。
妖精族のなかでは少し短命に死ぬかもしれない、かつての知り合いだ。地球人では年賀状が生存確認とも言うらしいしそのようなものかもしれない。
「なっ、何の話だ?」
「虫の知らせみたいなものだ……、だからとっとと戦闘力あげるぞ猫ちゃん」歳をとって己も少し丸くなったようだ、少しだけ目を向けてやろう。
今も 見つめた 瞳 共にいよう おそれず
夢から 覚めても───……
野薔薇城から女性の歌声が聞こえてくる、薄暗く寝所のような空間から。その声を静かに一線切るように黒い霧があらわれて卵を抱える女性……マレノアの後ろへと回る。
「変わらず子供にその歌をうたっておるのか…?、マレノアよ」
「嗚呼!……カリグラさま、お久しぶりでございます。アスラの義兄さまには会われたのですか?」ぬるりと現れた黒い影の正体……我が母マレフィシアの知り合いにしてアスラの親・始祖の契約者…皇帝カリグラだ。
マレノアにとっては強者たるものの態度、そして王たるものの姿勢について教えてくれた1人なのだ。その原初の神たちとの契約の証たる角は神々しく輝き赤い瞳は紅玉のよう。
マレノアの顔は少女のように柔らかくなり、彼を見つめている。
「…いいや、先程こちらに来たばかりだ。子供を起こさせてしまうかもしれぬと思ったが……一目、お前の顔を見ようと思ってな」
「フフフッ……相変わらずお優しいお方、昔から変わりませんね」
「何を申すか……あの始祖の愛し子たちたるおまえに敬意を表してるだけだ…"夜の祝福を"」そういいカリグラはマレノアが抱えるひとつの大きな卵に暖かい赤い光の玉をいれる、昼と夜全てを支配する皇帝からの祝福。
マレノアはそんな彼を見つめながら、優しく微笑んだ。それはひとつの国を支配する女王と思えないほどに優しく、1人の女性のよう。マレノアは目の前の男にかつて恋をしていた、幼馴染で臣下であるリリアたちと遊んでいた時にマレノアは崖から落ち死にそうになったことがある。この時は恥ずかしい話ではあるが、魔法で助かろうとする前に崖から落ちるという衝撃がでかく上手く魔力を扱えなかった。もう間に合わない、その事実から目を閉じ死を覚悟した時カリグラが己のことを優しく抱き抱えて助けてくれたのだ。
『あなた、は……?』黒く長い髪の毛に紅玉の瞳…片方は黒くブラックダイヤモンドのよう。
おとぎ話に出てくる王子様とは違う眉目秀麗な男にマレノアは心を撃ち抜かれていた、明らかに自分より強い力を持つ男。…そして少女である自分を気遣い、優しく受け止めてくれた人に。
『随分とお転婆なお姫様がいたものだな……気をつけなさい』よく見れば腰に茶色のしっぽがある男、初めてこの時血液の激流を感じた。頬が赤くなり、そして心奪われるという表現があうような事象にあったのだ。
本能とは理性が動くより早く動作してしまうもので、マレノアはこのあとカリグラの手にずっとしがみつき『私の番になりませんか!?』と声をかけてしまう。
今思えばなんて大胆なことをしたのだろう、と少し恥ずかしい心があるがそれすら出てしまうほどに目の前の彼が好きだった。彼に振り向いてもらう為にとたくさんの魔法を覚えて、彼が求めるような魔法石まで用意して求愛をした。
──今はもちろん夫となったレヴァーンを愛している、そして彼が今愛でてくれている赤ん坊のことも。
「(彼に恋をしたのはいい思い出……)」女王として誇りある日々を彩ってくれた、辛い勉強や特訓もいい思い出だったと言えるほどに。
「それにしてもカリグラ様が来られるとは……いつぶりでしょうか」
「そこまで時期はたっておらんな…、いや数ヶ月は経ったか。お前たちが、人間と争いそうになってるときいてな」人間、その言葉にマレノアはぴくりと眉をひそめてその美しい顔を少し歪ませる。
彼は何かを察したのか溜息をつき、レヴァーンが赴いてるのだろう?と言葉をかけてきた。
レヴァーン…夫である左大臣は今人間の国に赴いている、しかもその国はマレノアいやドラコニア一族にとっては長い因縁があるところだ。
相手の国はマレノアにとって義兄にあたるアスラーン、その故郷たる暁闇の国このツイステッドワンダーランドを作り出したと言われる始祖の大国を滅ぼした原初を先祖としているものの国だ。
人間たちにとっては長い歴史の中のひとつの出来事だが、妖精の一族にとっては直近にあった残酷な歴史といってもいい。
マレノアは許せなかった、のうのうと我が義兄アスラーンを追放し『オルカ(死神)』とあざけ笑う一族が平々凡々と生きてあまつさえ希少な魔法石を湯水の如く使おうとしているものたちを。一度は許し、今後とる時は許可を取るようにと話した。
だが、人間共はそれを聞き入れなかった。どころか子供を作り、子孫を反映させアブラムシのごとく巣食いはじめる。だから許せるわけがなかった…、だがレヴァーンは『もう一度話し合いの場を設け話さないか』と提案をしてきた。夫の言葉なら、と思い見送ったのである。
「……我が子のためにも、人間から学ぶことがあるのも事実。そのためには話し合い、かつてのように手を取り合わないかと……ですがアスラの義兄さまの身に起きたことも事実。私はそれが許せないのです」
「だが母となった今ではその身一つではない…、ゆえにレヴァーンをおくったか?」
「……ええ、私一人の身ではない。私は夜の眷族の女王となりました、もう昔のように自由に飛んで跳ねて……カリグラ様のことを追いかけることも叶わないので」
「ふふふっ、その割には自由に思うがな?。…子を持つ親は強いときく、お前も忍耐を覚えたのだからなかなかだぞ。過去を懐かしむなら、昔のようにおんぶしてやろうか?マレノア」
「そのようなことをリリアたちの前では絶対言わないでくださいませ…!」
「言わぬさ、今のは……寂しい思いをしているであろうお前を慰めるためのものさ」そういい彼は昔のように優しく頭を撫でてくれる、今となってはこの彼の優しさが父祖のように思えてならない。
ああなんと優しい手つきなのだろう……、夜の帳のように包み込みまとう衣のようで。
「…嗚呼、貴方こそ最も美しい王なのですね」
「何を申すか、夜の眷族の女王よ」
「……カリグラさま、お願いがあります」
「なんだ、申せ」これはそう…野薔薇城の城主としてではなくただひとりの女として母としての願いだ。
マレノアはこれが最後だと1粒涙を流し、卵を改めてカリグラに触れさせる。
「──私とレヴァーンに何かあった時は、リリアと共にこの卵をお願いします。我が子マレウスを……あなたのように一等星の輝きを持つ王にしてください」
「……」
「カリグラさま、貴方が人の子の持つ愛や我々のような真実の愛などに悩まれてたことは分かります。ですが、あなたはそれを覆すような自信と誇りがあられた──このマレノアが認めるほどにお強い」
「どうか、暗い夢を見る子を導く光のようにしてくださいませ。リリアとあなたならば出来ます…」
「何を申すか、仮にも女王が「これはただの"マレノア"としての願いです」……」あなたにとってこの願いが重みになることはわかっていました、ですがどうしてもしたかった。
王として誇りに満ち溢れ、同時に凶星たる強さを持つ敵を屠る強さを持つ我らが王に。この子もきっと、マレウスも自分のように彼をあこがれると思っているから。
「私たちと人間の戦に貴方様の手は不要でございます、……ですがマレノアとしてこの子のことをあなたに頼みたかった。もちろん、そう易々と死ぬつもりもありません…生きていれば貴方様が王たる姿勢をマレウスに教えてあげて欲しいのです」
「…お願いします、彼岸の君・カリグラさま」
「…はぁぁ、お前との付き合いがある断れぬではないか。いいか、人間は強い…お前が想像しておる万が一は起きかねない」
「だが無駄死にはするな、子らの為にも…なによりマレフィシアも悲しむからなマレノア」
「わかっておりますわ…ふふっ!彼岸の君はやはりお優しい……」
「付き合いから断らぬだけだ、ドラゴンを育てたことはないぞ?」
「何を申しますか、私にはその姿勢から王たるものについて教えてくださったではありませんか。……だから、ねカリグラさま」
「マレウスにもお願いします──、義兄さまも貴方様のこと評価してますから」
「…何かあった時は、だ。俺にまともな子育てを求めるなよ?、教えることは慣れてるが子育てには慣れていない」
「良いですわよ!、マレウスも貴方様にビシバシ鍛えてもらって強くなるでしょうから」そうこう話しているうちに城の中にリリアと様子を見に来たアスラーンが現れる。
どうやら国境の警備をふたりで行っていたようで、マレノアの様子を心配してのようだ。
「…げっ、カリグラ……さま。何しに来たんだい?」
「カリグラじゃないか!、数ヶ月ぶりか??。なんだ卵の様子でも見にか?」
「…お前たちか、騒がしいのが来たな」
「騒がしいとはなんだい、マレノア。この大うつけから離れたまえ、卵にも君にも害あるよ」
「ふふふっ、お久しゅうございますアスラの義兄さまにリリア。…防衛、ありがとうございます」
「ついでのようなものさ……ったく、ご面倒な男が本当にいたね」
「先程から失礼ではないか?、アスラーン。また茨でしばかれたいか」
「結構だよ、君とのやりとりは不毛だからね」つかの間の休息だった、戦火がくる嵐の前の静けさでもあった。
ああ願わくば、この幸せが長く続けば──と思った。
「…カリグラ、人を踏みながらなにほうけてるんだ?」久しぶりに恋人に訓練をつけてやろうとカリグラは精神と時の部屋に引っ張り出していた。
ココ最近はフューの動きも活発化して騒がしい、『ねえねえ!カリグラ!!。よその世界にも行けるようにしてみたんだけど、どうかな!?』と絡んできてあの世界の歴史に少し触れたりしたせいだろうか。
結局マレノアは…夜明けの騎士によって討ち取られた、夜の女王らしく立ち塞がり子供たちをまもりきってみせたが。死んだのだ、死ねば何も語れない。リリアはしばらく呆然として見る影もなかった。
アスラーンはちいさく、だから言っただろう…といってマレウスの卵をずっとリリアの代わりに抱えてたりもしたらしい。
そのあとマレウスはリリアのマレノアが授けた男の真実の愛で孵化した、そのあとは約束通りマレウスに時々帝王学をおしえ魔法を授けた。かつてマレノアも使用していた魔法領域も、マレウスはマレノアとも似ていたが…きえたツイステッドワンダーランドの始祖共にていた。
人を愛し、失敗から学び人と人の手を取り合わせて不器用ながらも導いた始祖と似ていた。それはアスラーンも思っていたらしく、『……あの人のように死なせたくない』といいマレウスのそばで見守っていた。
「……いや何、お前を見ていると不器用なむかしの知り合いを思い出してな」リリアたちを思い出すとは、己も歳をとったものだ。
あの世界には時間をいじっていってたため、どのくらい時が過ぎてるのだろうか。マレウスは大きくなったのかもしれないな。
マレウスは生まれる前にレヴァーンを実父を亡くし、母もなくした。そのせいか己のことを父親のように慕いよちよちと着いてきていた。
「…いや、ラディッツよりは賢いか調子には乗らなかったし」マレウスは勤勉だ、マレノアのように人を少し毛嫌いするとこもあったが始祖のように慈しみ知ろうともしていた。
『カリグラよ……人とはなんと、不器用で愛おしいことか』黄昏色の声を持ちそう話す、始祖を思い出す。長い髪をゆらゆらと揺らして、赤く輝く夕焼けの瞳でツイステッドワンダーランドをみていた。
「そんなに思い出すなんて、歳か?。カリグラ」
「歳ではあるが言い方が失礼だぞ、猫ちゃん」ミシミシっ!と音が鳴るほどにラディッツのことを地面に埋めつついえば本人は発狂するが、そんなこと知るか。
フューの粋な計らいであろうか、こんなことをおもいだすなんて。
あの世界には死んだ後から行っていない、そもそも時の界王神から『あなたしか出来ないの!』とか気持ち悪く媚びられてるし利用もされてるのだから行く暇もない。
だがまぁそうだな、今度行ってやるかと小さくぼやく。
「そのためにはどこぞの猫ちゃんがもう少し強くなってくれたらなぁ~」もしかしたら……リリアが亡くなる前の虫の知らせかもしれない、アスラーンは不老不死のようなものだ。
何度死んでも生き返り、不死鳥のごとく蘇り原初らしく人を導く。リリアはあの一件からマレウスの卵のあたりから魔力をかなり減らしてしまっている。
妖精族のなかでは少し短命に死ぬかもしれない、かつての知り合いだ。地球人では年賀状が生存確認とも言うらしいしそのようなものかもしれない。
「なっ、何の話だ?」
「虫の知らせみたいなものだ……、だからとっとと戦闘力あげるぞ猫ちゃん」歳をとって己も少し丸くなったようだ、少しだけ目を向けてやろう。
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