忘却

「…なんだ!?」ヴァルド星の住民は突然の光景に驚きを隠せなかった。
黒い突風が起きてその中心を見るとあのサイヤ人と似ているが違う男が立っていたからだ。
ラディッツが先程攻撃したリーダー格の男…ヴァドは、2000年以上生きた長老だ。その男の姿に見覚えがあり恐怖を思いだす。ガタガタと身体は震え、恐怖のあまり四肢がもげるような痛みが走る。
「…かっ、カリグラ……!!!」かつて己の星を支配し、先代をむごたらしく殺した男。仇相手だ。
「…久しぶりだなぁ、ヴァド。生かしてやった恩を忘れ、この俺をましてや器を殺しかけるとはどういう了見だ?」静かに目を開きなるほどな、と周りの精鋭たちを見て言う。
「ラディッツに当てたのはお前らのなかでも…1000年クラスの精鋭。敵わないはずだ、それ以降から200年クラスはベジータたちか?。普通は逆だろ…判断としては正しいがな」
「あっああ……!!」ヴァドは、カリグラから急いで逃げるように下がる。
敵うはずがない、そして自分の愚行を恨む。カリグラはこれでもかというほどにキレている。そしてわかるのだ、いまじぶんが彼が貼った亜空間のなかにいると。魔王の逆鱗に我々は触れてしまったのだと。
「…カリグラ…!、こいつが宇宙の悪夢だと言うのですか…!?」隣にいる男たちはヴァドに聞き返す。見た目は眉目秀麗なただこわい男ではないか。
涼しげに軽く微笑んでみていると言うのに。
「…ラディッツを最初に攻撃したやつはだれだ。」すると静かな空間にカリグラが彼らに問う声が響き渡る。
「……は?」生意気に聞き返す男にカリグラは咆哮をあげた。
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