御目見

「ふっくくくっ…サイヤ人、か…」男は笑いながらゆっくりラディッツの元へと歩いていく。ラディッツと同じような声色、此方の方が幾分か低いようだが冷たく北の土地の氷のように辺りを凍らせそうな色だ。
気のせいだろうか、彼の笑みと同時に大地が震え始めたのは。まるで災害の前兆のようにきこえてくる。
「…そうとも言えるなぁ、今はな。」男が1歩、また1歩踏み込む度に木々はざわめき鳥は慟哭のような声を上げ去っていく。草は震え、一部のものたちは根っこから飛び出してしまいそうな。
悟空たちは異常を察してゆっくりと後ろへと下がった。
「…カカロット」すると男が悟空へと声をかけてきた。
「…へ?」思わず間抜けな声を出して返事をすると、溜息をつき話してくる。
「ガキ、今のうちに助けておけ。殴れば扉は開く。」ポッドのとこを指さし、男は教えてきた。悟空とピッコロはお互いを見合う、今はこの男を信用してもいいかもしれんとおもいうなずいた。
「あっ、ああ…サンキュー!」
『カリグラ、今のうちに助けさせるの?。』通信機に連絡が入る、男…カリグラは少し息を吐きはなした。
「ああ、邪魔だからな。…その位はよかろう?。」
『そうねっ、あとはすきに頼む。』
「すきに…、言質とったぞ。」低く笑い、ゆっくりとカリグラはラディッツを見すえる。その黒い瞳は確実に彼の弱点を捉え見定めるようだ。
「……(オレに似てる…!)」ラディッツは冷や汗を垂らす、なんだこの胸騒ぎは。本能が警告してくる、この男にはかなわないと。
ベジータやフリーザより、恐ろしい気がすると。同じ顔、同じ声…向こうの方が見た目は若そうだ。
「おいガキ、一流の戦士のオレに挑む気か?。」
「ガキ…ね、見た目で判断するやつが果たして強いのか?。笑わせやがる。なんだ、頭までやられたか?。」とんっ、と頭を小突きカリグラはラディッツへと言葉を吐く。
「っ、バカにするなよ!。」
「ならばこい、若造。」
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