ラッキーで生きてんじゃん(カリー)

「~~♬」

カリーは口笛を吹きながら歩く、少し軽いテンポの機嫌が良さそうな感じにだ。
ターレスと同じ白いマントをはためかせて歩く、すると地球人のTPが名前を呼んできた。

「カリーさん、お疲れ様です!」
「ああお疲れさん、なぁなぁトランクス知らねえか?」
「トランクスさん、ですか??。……広場にはいませんし、時の巻物のとことかにおられるのではないのですか?」
「そうか、ありがとよー」

ここに来て何ヶ月かもうすぎた、なんだかんだ色々な任務をこなしながらも超ドラゴンボールの行方や己の幼なじみのラディッツの行方を追う日々。
覚悟していたことだがやはりそう簡単に見つからない、カリグラからもあれは原初の時代に近いものだからそう簡単に手に入らないとも言われた。

『俺が見つけてやってもいいが……、黒王の手がある。やつに今バレたらかなり厄介だからな』
『……もしラディッツがいたら、下手したら…消されるということですよね?』
『そうだ、皇嵐にも何か起きてもおかしくないからな』

そういわれて仕方ないともなった破壊神たちでもそうそう見つけられるものではないらしい、逆を言えばそれほどに力が強く願いを叶える力も相当なものなのだろう。
あとは時空の境目……、自分たちが道に迷ってきたブラックゲート…あの辺で何かしら歪みが起きたらもしかしたらラディッツのところに行けるのではないかとカリーは考えた。

「(そのためには任務こなしていかないといけねえなぁ)」

カリーは歩きながらも階段を昇っていく、悟空たちのためになるのは気に食わないし肌を全部掻きむしりたいほどの嫌悪感があるが幼なじみのラディッツたちと彼の娘たちのためだと思えばやってみせる。
巻物が管理されているところからトランクスの気配がする。普段の爽やかな空気とは違うどこか湿った香りがする。

「(なんだ、この匂い……)」

カリーはゆっくりと歩き入ってみれば、1つ巻物が広げられている。
トランクスはそれを自分に気づかないまま、ずっとながめている。カリーにはわかるあれはトランクスの人生を分岐させたシーンが流れているということが。
かつて話を聞いたことがあるカカロットこと孫悟空の息子悟飯がトランクスの事情をしていたということを。そして、トランクスを己の父親が愛した地球をまもるために命をとして戦い亡くなったということも。

「何か変な匂いしてくると思ったら……、トランクス。そんなとこで何してんだよ」
「ああ、カリーさんでしたか。任務お疲れ様です」
「おつおつ、……そこに流れてるのお前の過去か?トランクス」

カリーは戦闘靴の音を鳴らしながら近づきトランクスに語りかける。仮にも王子の息子、幼なじみの仇の弟子とはいえ少しは敬いや年下だからなという心がある。
己からすればトランクスは未だ若い、情けないところもあるがそれも愛嬌のひとつとして受け取っている。そんな子供が、ひとつの過去を見て憂いているのだ。声をかけなくては行けないのではと思うのは、自分が彼を少なからず認めているところもあるからだろう。

「ええ、仰られる通り……。これはオレが過ごしてきた歴史のひとつです」
「PQでも見られたと思いますが……18号と17号に、みんな殺されてしまって唯一生き残った悟飯さんも…っ!」

トランクスは見てきたことのようにそう語る、おかしいそのみんなというものは恐らくベジータたちのことであろう。
それはトランクスが生まれてまもない頃ではなかろうか、ああ彼は見てきたのだろうタイムマシーンをつかいそして母や知り合いに聞いた話も具象化しながら。
カリーがその話を聞いてよぎるのはあるひとりの英雄……違う己にとっては無謀にも挑んだ愚か者、バーダックのことだ。抗えない運命に挑み、生き残れば生きていればもしかしたらがあったかもしれないのに。己のプライドとと心と、そして星を妻を守る為にとフリーザに挑んだ男。
長く生きてきたカリーにとって、抗えない運命というものはある。カリーとしてはそれを如何に避けて、生き残るかが賢い道ではないのかとおもっているのだ。そういう己も幼なじみを生き返らせる為にと奮闘しているが、サイヤ人はそういうのに挑んでしまう愚者の集団なのかもしれない。

「で?、なにトランクスくんはそれを見て自分が強ければーっとかなにか出来ることあったんじゃないかーとか自責オナニーしてるわけ?」
「おなっ!!??、なっ何を言われるのですか!カリーさん!!」
「そんなの歴史から学んでねえじゃん、お前さ過去に行ったりいろいろしてたくせに何を見てたってわけよ」
「俺から言わせればあんたはラッキーで生き残ってきた人間、母さんってあのブルマっていう科学者の女だろう?ベジータ王子の妻」
「たまたま運の巡り合わせで生き残ってきた、そして過去に行き強くなり地球を救って助かった。それだけじゃね」

カリーはそういいトランクスをみる、そして残酷なことも告げた。これは先輩として、そして──幼馴染を残酷な運命に飲み込まれたものとしてだ。

「ま、そのラッキーの下は残酷な運命があり油断すればぱくりっと食われちまうもんだがよぉ」
「っ、カリーさん」

その青黒い瞳に見られてトランクスは動揺してしまう、少し彼の地雷に触れたかもしれないと思ったが彼の言葉を振り返る。
『ラッキー』、確かに言われて俯瞰してみればそうかもしれない。過去には悟空だけじゃない、悟飯も会えることのないと思っていた実の父親のベジータもいたのだから。

「申し訳、ございませんっ……カリーさんは、そのっ」
「そうだな、俺は今……俺の幼馴染のラディッツとは会えない」

死んだ、亡くなった。ただ死ぬならいい、そうじゃないその魂は煉獄に封印されている。
全ての万物の父黒王の元にあるのだ、取り戻せれるかも分からない。
時の界王神たちすら言葉を失い、手伝えるのはわずかだと言われた。ここにいるのは別の時空のラディッツだ、幼馴染のように寡黙で表情が動かないわけではない。時々お調子者で調子に乗りカリグラに怒られている。
幼馴染のように全てがどうでもいい、としている訳では無い。たまにラディッツを見たら会いたくなる、そして抱きしめて

『俺たちがいただろ』

そう言いたい、伝えたい。なのにもう、いないのだ。どこにもあの面影はない。

「ま、そういう奴らもいるってことよ。分かったか??、トランクスさんよ」
「やれやれ、カリー。……人の優しすぎるトランクスにそんな話をするでないぞ」

そうしていると老界王神がためいきをつき、よたよたとあるいてくる。

「人の優しい?、甘すぎるの間違いだぜおじいさん」
「お主たちの時空のカリグラが手厳しすぎるのもあるんじゃわい!!」
「じゃが……、歴史を変える機械を作るのはあまり褒められたものではないのじゃがの」
「へぇー、カリグラさまの次元渡りは?」
「あれは止めても聞かんわい!、あのジジイ……っ毎度毎度話しても聞かんわい!!」
「ハハハッ!、カリグラさまのはいつみてもぶっとんでるからね~!」

カリーは老界王神の血管がちぎれそうな怒り方に笑いながらこたえる、だがそう強く言えないのだこの方々は。
なんだかんだカリグラの万象の能力に救われてきているのだから。

「あやつのはぶっ飛んでるというか、好き勝手気ままというか横暴じゃわい」
「でもなんだかんだすくわれてっしょ?」
「皇嵐さまのがなければ、あのバカタレはいつでも好きにするからなっ!。ったく、時の界王神もやったもんじゃ……皇嵐さまとその子供たちを使いどうにか支配しようとするが………はぁぁぁ」
「トランクス、じゃがいくらなにかあろうと時にふれるのはあってはならん」
「……っ、はい」

カリグラのはもうなにいってもむだ、といいたげに老界王神は首を振りトランクスを真っ直ぐ見据える。その瞳はかつて界王神としてあったものとしてのするどさがあった。
トランクスも彼からの言葉と目線に言葉を飲み込み、そして繰り返せば秩序が乱れること何より──ザマスたちのようなものが現れることを噛み締めて頷く。

「時空の乱れからザマスのようなものたちもじゃが……ふれてはならないものたちもあらわれるからの」
「触れてはならないものたち?」
「……カリグラのようなものもじゃが、ひとつの時間ひとつの暮らしそして選択というものがズレた時に生まれるものたちじゃ」
「大河の流れで見れば小さいものじゃが、ひとつの時流そして力で見れば相当大きなものがある。あの時こうしていれば、と思ったものがあるじゃろ?そういうものからうまれたものたちよ」

大河の流れ……、そう言われてカリーは少し納得する。幼なじみのラディッツは、皇嵐を愛することを選んだ。そして諦めず、血反吐を吐きながら求めて付き合い娘たちふたりを持った。
それだけじゃない、彼が幼い頃に皇嵐を追いかけると選んだからこそ第六天魔王と呼ばれた男の刀を従者として従わせてやがて時空を操るものそして魔導師たちや神たちを味方につけた。
ありえない流れなのだ、自分が今まで見てきた歴史でも世界でもひとりのラディッツがここまでの力を持てるとは思えない。

「……俺たちのラディッツもそのひとつ、というわけかい?じいさん」
「……そうじゃ、カリグラのもあるがあの男はさながら新月のように飲み込みそして支配した。あのラディッツはお主たちのとこでしかいないようなものじゃよ」

他にいるわけが無い、人の心から欠けて代わりにひとりの女を愛して貫き天に手をかけた男なんぞ。
カリーも話を聞いて、過去に浸ろうとしていたところ禍々しい香りが漂ってくる。トワたちの干渉だ。

「はぁ!?、空気を読まねえ連中だな!!本当にッッ!」
「っ、すぐに行きましょう!!」

トランクスからの言葉にカリーは、これ俺が行くの!?というと老界王神がうなずく。

「カリー、オマエさんがいいわい!」
「はぁ!!??、俺任務終わらせたから酒飲みたいのにっ!!??」
「カリーッ!、きみがいいのっ」
「トランクス……、分かってるわよね?」

その場に来た時の界王神も真剣な顔持ちでトランクスを睨みつけた、干渉されてるのは間違いなく未来悟飯の時空。つまり、トランクスの過去だ。
私情を挟みかねないましてや未来を変えたトランクスがむかえば、またなにかを起こしかねない。そんなものはむかえさせられないと時の界王神は伝えてるのだ。
トランクスはうなずき、カリーに巻物を渡す。

「まじ??、俺に行けって?嫌なんだけど」
「カリー、きみは伊達に50年以上も生きてないサイヤ人でしょ?。今ここで冷静に動けるのはきみしかいないの!、……カリグラ向かわせてみなさいよ!!」
「すーぐ全部壊すぞ、大掃除するか!って言ってな」
「わぁぁ~、たしかにやりかねない。まぁ分かったよ、俺が行くわ……だるいけどよ」

そういいカリーは時の巻物を扱い、未来悟飯たちの元へと向かった。
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