御目見

嗚呼久しぶりだ、料理が楽しいと感じるのは。食べてくれる人がいるというのは良いものなのだと幸せを大事に噛み締める。
テキパキとナエが作業をして、15分ほどたったころカリグラはゆっくりと目を開けた。
「…寝てたか。」久しぶりだ、こんな睡眠はと軽く伸びをする。ラディッツの中にいた頃はあくまで封印だったしな、と軽く息を吐き整えた。
ふわり、となにかいい匂いがしてくる懐かしくそして朝だと伝える香りが。
「…ナエのやつ、飯を作ってるのか。」ロッキングチェアから立ち上がり、カリグラはキッチンへと向かった。
「カリグラ様、おはようございます」ナエは足音が聞こえてきて声をかけた。
「ああ、おはよう。」
「…ロッキングチェアで寝ないでください、せめて寝るならベッドへ。」
「悪い悪い、あまりにも居心地良くてな。」
「ったく…そこの席に座ってください。」昨日カリグラが住む、と決めて改めて買った4人用のテーブルと2人の椅子ゆびさす。
「久しぶりだな、お前の飯は。」
「ええ、貴方が亡くなりましたからね。 」
「うっ、痛いとこを言うな…。色々あってだとあの時も話したろ。」
「ええ、そうですが。昨日話したはずですよ…」
「あなたがいなくなってから、僕はつまらなかったと」つまらなかった、ほんとに。まるで心に穴があいたかのように何も楽しめなかった。何を持っても、何をしてもその穴は埋まらなかった。
子供たちのことを見る度にもよぎる、『カリグラ様がいたら』という考え。
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