少しの間
出会ったことはない、いや正確に言えば遠目に見ていたというのが正解だ。
魔界をまとめあげ、魔王の玉座へと座る地獄の色を纏う男。それがトワからしてのカリグラという男の印象だった。兄であるダーブラは歯ぎしりをしながらその男を睨んだが、ひと睨みで竦み影へと隠れた。
父も誰も彼も、皆その男がきたら蜘蛛の子を散らすように去っていったのだ。
だが、カリグラこそ王だと崇めるもの達は彼に着いてきて富に地位を得て名を魔界の隅々まで轟かせた。
『カリグラは真なる王』
『あの男について行けば、我らが栄華を咲き誇らせれるぞ』
「……っ恐ろしい…!」破壊神すら魔性の魅力で魅了して、全王すら意のままに。その気になれば世界の崩壊も世界の創造もできると。
赤い悪魔、あの男は──己の術では操ることすら出来ない。ダーブラは今思えば賢明な判断をしたものだ、カリグラがいなくなるまで隠れようと。
黒王はあの男に目をつけていた、あの方が本格的に動くまで静かにいるのだと兄はそう話した。
──そして兄の読み通りになったが、まさか時を超えてあの恐ろしい化け物が帰還するとは思わないだろう。苛烈な男だった、対面しただけでもひりひりと肌が焼ける感触がした。
天地、陰陽、火水……それら全てを併せ持つ存在太極のような完璧たる王。
魂が半分に割れてるのに?、なんでここまで。あの男は自分に怒りを抱いていた我が器を良くも、と。ああ自分は逆鱗に触れてしまったのだと戻っても未だに恐れている。遠く離れたのにいつか追いつかれて殺されてしまうのではないかと。
「(カリグラはおそらくっ、黒王様を警戒してそうそう近づこうとしないはず…!。本当に?、だってあの男…)」常識外れなことをして天下を手に入れて、果てには人ならざるものになったのに。
魔界をまとめあげ、魔王の玉座へと座る地獄の色を纏う男。それがトワからしてのカリグラという男の印象だった。兄であるダーブラは歯ぎしりをしながらその男を睨んだが、ひと睨みで竦み影へと隠れた。
父も誰も彼も、皆その男がきたら蜘蛛の子を散らすように去っていったのだ。
だが、カリグラこそ王だと崇めるもの達は彼に着いてきて富に地位を得て名を魔界の隅々まで轟かせた。
『カリグラは真なる王』
『あの男について行けば、我らが栄華を咲き誇らせれるぞ』
「……っ恐ろしい…!」破壊神すら魔性の魅力で魅了して、全王すら意のままに。その気になれば世界の崩壊も世界の創造もできると。
赤い悪魔、あの男は──己の術では操ることすら出来ない。ダーブラは今思えば賢明な判断をしたものだ、カリグラがいなくなるまで隠れようと。
黒王はあの男に目をつけていた、あの方が本格的に動くまで静かにいるのだと兄はそう話した。
──そして兄の読み通りになったが、まさか時を超えてあの恐ろしい化け物が帰還するとは思わないだろう。苛烈な男だった、対面しただけでもひりひりと肌が焼ける感触がした。
天地、陰陽、火水……それら全てを併せ持つ存在太極のような完璧たる王。
魂が半分に割れてるのに?、なんでここまで。あの男は自分に怒りを抱いていた我が器を良くも、と。ああ自分は逆鱗に触れてしまったのだと戻っても未だに恐れている。遠く離れたのにいつか追いつかれて殺されてしまうのではないかと。
「(カリグラはおそらくっ、黒王様を警戒してそうそう近づこうとしないはず…!。本当に?、だってあの男…)」常識外れなことをして天下を手に入れて、果てには人ならざるものになったのに。
