遠く離れたシルエット、砂塵がはれてラディの姿がみえる。ラディが確かにそこにいた、手にはおそらく自分が吐いたのであろうオイルのあと。
髪の毛の雰囲気が変わっていた、悟空たちのような金髪ではない。──星々の光を宿した、煌めくものへと。夜空とはこのようなものであったなと思わせるような光だ。目の色も変わっていない、ただ雰囲気がそう……ピッコロの半身神のようなものへとなっていたのだ。
俗世離れしたもの、と言った方がとてもわかりやすいかもしれない。何だこの変化とセルは目を見張る。
「……まともに食らったら、少しはダメージが入ったかもですね」相手は眉間に皺を寄せ、目を鋭くあげてこちらを睨みつけている。パンパンっと肩に着く砂埃をはらっていた。
闘気…と呼ぶにはどこか涼しげで冷たいそのオーラはセルに恐怖というものをじわじわと教え始めていた。そう…それこそ、これはまた蛇に睨まれたカエルの状態だ。
「それ、私の父を殺してくれた技なんですよね。機械だから計算でわかったのですか？」
「…やはり、きさま……ラディッツの子か…ッ！。だがここのではない…っ…その気はなにかね」
「冥土の土産に教えてあげましょうか？、とは言っても私も良くは分かりませんよ……少なくとも超サイヤ人と呼ばれるものとは違います。…母の血の力、ですかね」生命を生み出す皇嵐、彼女は同時に生命を絶やす力も持っていた。創造を行うためのであろう、母はそれを使うことは滅多になかった。
黒王が破滅の象徴として動いていたためであろう、…星の神々の怒りを現すように降る流星……ラディはその力を持っていたのだ。気づいたのは父が亡くなってからの事だ、それまでは少しばかり力が強くなる程度のであった。完全覚醒してからは、流星の力を拳に込めて振るうことができるようになっていた。