「お前自身だとどうなんだ」ラディッツは好奇心と怯えから思わず声を震わせながら、聞き返す。ずっと…カリグラの言葉には彼の本心があるようで、無いようにおもったからだ。
彼本人であればどうなのだろうか、と。皇帝カリグラではなくカリグラだったらどう思っているのだとどうするのだろうかと。
「……使えんヤツは消してしまえ、といったら？」聞いてみて返ってきた回答は、背筋を凍らせてしまうものであった。同胞が使えないと知れば、即刻抹殺してやろうというものだ。
カリグラの顔が上手く見れない、黒く塗りつぶされたかのように真っ黒に見えて。ただその目だけは赤く冷たく光っているように見えて。
震えてしまっていたのだろう、まさかの回答に瞳孔を揺らしていると真っ黒な影はひきカリグラの普段向けてくれる優しい微笑みしかそこにはなく冗談だと言葉がふってきてラディッツはほっとしてしまった。
「…俺もそこまで鬼畜ではないさ」
「そっ、そうか…（何だったんだ…あの顔はっ）」フリーザとかと比べ物にならないほどの、背筋が凍った。それこそ人ならざるものに見えてしまったカリグラが、そうではあるのだがなんだろ……死を見てしまったが近い表現なのかもしれないとラディッツはおもう。
人が逃げることの出来ない、死という事象。この形がカリグラにみえてしまったのだ。もしあのまま、何か言ってしまっていたら──消されたのは自分なのかもしれない。だが惚れてしまった身、殺されたりされるならカリグラがいいと思ってしまっている己もいる。片想いなのは確定なのに、そんなことを考えてしまうなんてなんて能天気なのであろうかともおもうが。
「…まっ、トランクスも成長の見込みありということではないか？。度が過ぎるミスは許されることではないがなー」