時のほころび/挑発

これが……自分たちの知らなかった世界へと居た最強と呼ばれるものたち、ラディの力の強さ…神と呼ばれる者たちのを本当の意味で目の当たりにしたようだ。
ビルスたちとは違う何かが、彼女にはあるように見えた。
「大丈夫ですか?」セルと戦ったところから離れにいる民間人たちを彼女は救い始めた、その姿は先程殺すほどの勢いで弱点を貫いた女戦士には見えない。
民間人たちは彼女に感謝しながらも逃げて、なかにはまた彼女に逃げなくていいのか?と聞くものたちもいるがラディは優しく微笑み断り次から次へと救い始めた。
『それにしても…けっこーセルあっけなかったな』
『オレたちでも苦労する相手にあの一撃……本当に強いんですね』
「これでも、現代最強に鍛えられて父からはかなり教わりましたからね」ウーロンたちの言葉にラディはクスリと笑う。未だに覚えてる、父ラディッツからの…地獄に近しいほどの扱きに。
泣きそうになったことは度々あった、あんなに普段は甘やかしてくれる父が戦闘の訓練となれば豹変したのだ。
『この程度で根をあげるか?』
『お前は俺と違って戦闘の才能が強くある、それを活かせ』だから戦え、ひたすらに。強化サイバイマンだけではなく刀の戦い方や色々と教えられた。その時の父は力が強いとかではない、技術や間合いその理解具合と範囲の広さは恐ろしかったものだ。父が侮蔑されたよばれ方を受けていたのはわかっていたが、愚か者がと周りのものたちに思ったのだ。
父は慎重で、そして殺し屋のような動きを得意としていた。単純に力があろうと勝てない動きをしてくる。それをどうさばいていけるかなどひたすらに考えさせられたものだ。
ただ力も強く、強者の風格を持つものたちなどラディにとっては容易いのだ。
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