時のほころび/挑発

少し離れたところに人の気配がする、ラディはそこに舞空術で飛びふわりと向かった。地球人の女性が足を抜かして倒れてるようだ。
ふるふると震えて、小さい声で助けを求めている。
「…大丈夫ですか?」ふわりと鳥のように近くに舞い降りて、軽くしゃがみ声をかけて手を差し伸べる。
「あっ、ありがとうございます…!」震えながらも女性は自分の手を取りなんとか立った。
「みっ、緑の怪物が…!突然街を襲ってきて…!!」恐らくセルのことであろうということを話す、女性は自分を見て一緒にと言おうとするがラディはそれを察して首を横に振る。
「ここから離れてください、またなにか来るかもしれませんから」
「あっあなたも!逃げないと!!」
「大丈夫です、私は特殊な訓練を受けた兵です。これでも強いんですよ」そう、自分に言い聞かせる。
「私は"一流の戦士"ですから」あの父から鍛えられたのだ、父の教えは一貫としていた。
─敵を見れば子であろうと殺せ─そいつはいつかお前の首に噛み付くものになる可能性があるからだ─生き残ればいい─
父はもしも、という時の考えを良くしていた。万が一の可能性がある可能性は全て潰せと。だからこそラディは父が亡くなったことに納得がいってないのだ。
様々な可能性を考えられた父がどうして殺されたのだろうか、と。
今考えても仕方ない、私はあの人の娘としてやることをやるだけだ。
「…1人、女性を逃したよ」
『助かりました!、あとの民間人の救出をお願いします!!』
『結構さくさくといくなー…、さすが悟空の姪っ子なんだっけ』
「ははは、あんなやつと一緒にしないでくれます?」冷たくラディは言葉を吐き捨てる。あんなやつと一緒にしないでもらいたいと。
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