葛藤

ラディッツは確かに大人だ、だが大人になりきれてない…抱え込んだ悩みや感情を抱えて今まで生きてきたのだ。
親にも言えなかったもの、母星が滅びてからはオレはひとりだと抱えて。
「…そうですねぇ、ですが憧れから本気の恋慕になることはあるでしょう」
「ラディッツがそれだ、ということか」ナエの言葉にカリグラは少し考え聞き返した。自分にとってラディッツはあくまで、自分の欠片をすこしもつ存在にして孫のような存在。
恋愛的には一切眼中にないのだ、そこで意識してみようにも年の差や己の恋愛事情としても見る気が起きない。
彼の心を理解して動いてやれることは出来るが、付き合うことは出来ないとは伝えないとなと考える。
「そうですよ、…あまりに深く傷つけてあげないでくださいね」
「……善処はする」
「してください」持つべき者は忠臣、というか意見を言ってくれる男だ。ナエは特に自分に対していざと言う時は述べてくれる。
どうにかこうにかラディッツの気持ちとは向き合いつつのらりくらりとかわそうかとおもったが…、むしろラディッツにストレスを貯めかねないかもしれない。
「寝込んでいるのは俺への気持ちの件についてか」
「そうですね、貴方様が見に行かれるというのであればお止めはしません。…何言われてもあなたの責任ですよカリグラ様」
「はぁー……あいつからまたつんでれでも喰らいそうだなわかった」
───
ガチャり、と部屋の扉を開けて入る。ベッドには以前見たような丸い布団の塊がころがっている。
ラディの任務が終わるであろう頃まで少し息抜きするか、と来てみればラディッツが乙女のようになっているとは。
「(まさかラディッツ、という存在すらにとはな)おい…猫ちゃん」
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