葛藤

寝室へとむかおうと廊下を歩いていると、ナエからぽんっと肩を叩かれる。
「どこへ行かれようとしてるのですか?」
「ああ、ラディッツ…猫ちゃんの様子を見に行こうかとな」
「……はぁー、面倒なことをまたしようとされますね」
「面倒なこと?、とはなんだ」何を、と思い聞けばナエはその言葉にためいきをつきわざとですか??と聞いてくる。
「あなた、ラディッツさんの気持ちに気づいてないとでも言いますか」気持ち……、カリグラはその言葉になるほどなと納得した。
ナエが心配していること、そして懸念していること……ラディッツは自分に恋心を抱いてるという話のことだ。それは分かっていた、そもそも出会った時からあれは自分に怯え震えながらもどこか特別な気持ちを抱いてきていた。
子供が初めて恋を覚えるような、あこがれや尊敬のものなどを抱いて。そこからゆっくりと付き合っていきカリグラは自身が彼に対する評価のことを話した時は初めて自分を見てくれたものとしてラディッツは自分のことを意識して完全に恋となってきたのだと言うことも理解はしていた。だが自分には既に好きな相手がいる、かなわないとわかっていても彼女のことを思わない時がないほどに惚れている相手がいるのだ。
「…お前が心配していることはわかった、ラディッツが俺に抱いてる気持ちのことはわかっているつもりだ」
「分かっているならばキッパリとされた方がいいですよ、ラディッツさんは…あなたにかなり惚れ込まれてますから」
「俺に、ねえ……。ガキの恋に近しいものだと思うぞ、あれは今の今まで見られてこなくて孤独に苛まれていたのだからな。そのなか俺が現れて、俺が話した……だからこそ俺におちただと思うが?」
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