葛藤

世が世であればラディッツはそれこそ天下人、と言われた武士たちと同じ立場にいただろう。
そう、そうなったのには皮肉な話自分が関わっているのだ…己自身がそもそも何よりも徒花であり死病のような存在であったのだから。時代を塗り替え、世界を作りかえる自分がそのような男であったからこそ己の来世は派生したのだから。
「そもそも、ラディッツという存在すらなかったかもしれんがな……だがお前はいい線を見た素晴らしいぞ」ドロっとした赤い瞳、朧気だったはずの記憶が蘇る…母を連れ去らい姉を絶望に落とした男の存在のことを。黒王…、あの男とカリグラはどこか似ている。だが違う、違うのだ。リンに撮っては今目の前にいる存在こそまさに絶望を体現していた。
最悪だ、おそらく彼は自分が父親と似ているからと言うので1部の本性を見せたのだろう。姉は母に似ている、そしてこの男にとっては守るべき対象…だから優しく接した。自分には隠し事しても無駄だと計算してこのように見せてきたのだ。
「ほんっっとじじい性格悪い~…」うげぇ、と舌を出して顔をしかめればカリグラはくすくすと笑いせっかくの可愛い顔が台無しだぞ?と告げてきた。
「父と母、どちらのいいとこも継いだお前の顔がもったいないぞ」
「お姉ちゃんからかわいい、と思われてたらいいんデース!」
「それも言えてるな」また歩き始めて、結局自分はこのままかいとリンは諦める。父以上に自分勝手というか己のペースで進めるカリグラにあきれるが、だからこそこの男がフリーザ以上に恐れられてきて王と呼ばれた所以なのだろうとおもった。
そして姉がこの人に修行をつけて欲しい、と願っていたが果たして本当に大丈夫なのだろうかとも。この男のマイペースに振り回されないかと心配も出てきた。
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