介入

「そうかな?、私自身はあまり分からないけど……でも確かに似てるかも。お母さんも、こんな感じでみんなのことまとめてたから」ふふっ、と笑う姿は少女の可憐さを持ちながらも大人の雰囲気を持つ。
見ていて落ち着いてしまうのはやはり時空違いとはいえ、血の繋がりというものがあるからであろうか。
「心配しないでくださいよ、私は大丈夫ですから」
「……わかった」大丈夫、と伝えてくる目線と言葉……それをされたらもはや己から何も言うことは無い。
「持ってきましたよ」そうしているとナエがラディの戦闘服を大事そうに抱え持ってきた。
近くの机に置き、ラディはそれを見て綺麗にされてるとつぶやき受け取る。
「ありがとうございますっ、こんなに優しく手入れしてくださって」
「自分のついでのようなものですよ」心做しかやはりナエも彼女相手に接する時はどこか優しそうな柔らかな雰囲気を持っている。
生粋の人たらしというかなんというか……、彼女にはそういう和ませるような才能があるのやもしれない。
己が今まで見ている限り、やはりラディと触れ合うものたちは柔らかい雰囲気を持っていた。
「それじゃ、行ってきます」着替えたラディとリンはナエたちへと顔を向けてにこりと笑い話す。
「お気をつけて、また何かありましたらスカウターの方にかけますから」
「はいっ」
「場合によってはよく使える移動器具のカリグラ様を使いますので」
「えっ、えっと………仮にも偉い人にそれいいんですかね…」黒い影を落とし言うナエに、ラディは少し苦笑いを浮かべて伝える。話を聞く限りあの父そっくりな男はかなり偉い男だ。
しかも、恐らく母の恋した相手…そのような人をそんな便利道具のように扱っていいのだろうか。
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