ごくり、と固唾を飲み込み彼を見る。カリーと似た癖のある髪に、黒い瞳と鋭い目付き。
ほかのサイヤ人と比べると細いが、そのしっかりした足とバランスの良さから戦い慣れていることはもちろんわかる。
「…なかなかお強そうなお方だ、カリーと似て」
「それはありがたい褒め言葉を、ですが僕自身は戦いはそこまで好きではないんですよ。カリーがしてたように経理をしたり、何かを発明したり芸術を愛でておきたい」胸に片手を置き話す姿はどこかで見た執事と呼ばれるものたちと似た雰囲気を彷彿とさせる。
サイヤ人の中でも綺麗な部類の顔立ちに、死神戦士と呼ばれていた時のカリーのような冷たい瞳。これがあのカリグラの部下…、悪のサイヤ人と呼ばれていた男の。
まつ毛に縁取られた瞳にカリーと似たものを感じるが、一番は数回会ったカリーの母ネーマを思い出させた。しっかりとした女サイヤ人、あのベジータ王子の護衛としてもいたナッパとも普通に言い合い他のサイヤ人達にも有無を言わせなかった雰囲気。カリーの前ではいわゆる普通の母のようにもいたが、戦士として働く時は厳しく己の家と役目に誇りをもてとカリーに話していた母親の。
「……なるほど、カリー…あんたの母親と似てるなこのお人は」
「んあ？、まぁ〜……そうかもな」
「おや、子孫のことを知っておられたのですか？？」
「…何度か、話したことがあるからな」
「なるほど、それはお世話になりましたね」この男と接していると不思議だ、サイヤ人というよりどこか厳かな雰囲気を持つ貴族と接しているように感じてしまう。このようなものがサイヤ人にいたのか、と驚きの感情もある。
ナエのような男がいたらフリーザも己たちへの接し方が変わったのではないだろうかと。