そう、あのとき少なくとも地球でも屈指の実力者であった己とそんな己を倒した悟空2人でもかなり苦戦したラディッツに対しての一言が信じられないものであった。
未だに身体にかつてない恐怖は残っている、一瞬冷たく興味がないと冷めた視線を向けてきたこと。ただ一言、今目の前にいるこの怪物の男と同じようないや下手すればそれより冷たい声で『用はない』と切り捨ててきたこと。
少しした、ほんとに少しした違和感なのだ彼に感じたのは。あのベジータたちの発言が信じられずにいたのは、あの時出された力はかなりのものであった。だが、ナメック星人であるがゆえなのかネイルや神と融合したせいか永遠に思うところがあったのだ。
「あの時…、やつは未だに本当の実力とやらを出していたのかと。技のセンスも見切りも恐ろしいものだった…っ、孫悟空といなければオレも死んでいただろうと」
「……ほぉ、随分と目がいいな」ピッコロはカリグラの鋭い目線に寒いものを覚えるが同時に感じる、この男も測りきれない力があることを。そして、ビルスがときおり悟空を見つめてどこか虚空を見つめている時があるが……それはおそらく目の前の男のことを思い出し重ねているときだと言うのを。
冷たく、足元からくる死人の手のような冷たさ。かつてピッコロ大魔王が都を恐怖に落とし、人々を殺戮した時に感じたもの。
ごくり、と固唾を飲み込む。相手は向き合ってもわかる、己にかなりの怒りと怨みを持ちみてきてることを。神の怒り、そう言ってもいいものだ。
「……（破壊神様と並ぶほどの実力…いや、それ以上か）」サイヤ人とはどこまで強さに上限がないのであろうか、潜在能力が解放されかなりの実力を持つ己が小さく思えてくる。