閑話5

すっ、と入口から出てみれば目の前に己より少し小さいとはいえ耳のとがった緑のターバンの男が立っている。
「……お前は…」度々この都で名前を聞き、そして己のラディッツのからだから名を聞いたことのある男。
忌々しく、そして今すぐにでもこの場から消し去ってやりたいが秩序の為にも万が一のためにも生かしておかなくてはならない男。
身体に怒りが巡る、だが同時に落ち着けと理性が働く。
「おまえはっ…ラディッツ…!?、いや違う……サイヤ人か?」
「…ご名答だ、ナメック星人。いいや、…ピッコロ大魔王と呼んだ方が良いか?」孫悟空とともに己のラディッツを殺し、甥の悟飯を鍛えた異星人。この場にいるピッコロはどうやら、己の世界のもののようだ。ああ、ラディたちをあわせなくてよかった。
会わせていれば、彼女たちは正気でいられないだろう。特にラディは壮絶な怒りを持ってやつを痛め付けることは確定だ。
「……ピッコロで構わない、界王神様たちが話していたものか」
「ほう、なんと」
「………伝説の大魔王、と。サイヤ人から魔族に成り上がったものと」
「そこまで聞いていたとは…、面白い」
「…ラディッツと風貌が似ているな、オマケに気も……奴らの親戚か?」
「……そうとも言えよう、きさまが殺した…ラディッツの前世だ俺は」なんだとっ、とピッコロは焦った声を出す。そして己の気を見てか神の力でか、何かを察し納得したように息を吐きそうかと小さく答えた。
「……随分と、やつはでかいものを抱えてたようだ」
「ああそうだ、だが残念。お前たちによってそれは崩れた…」
「俺は今すぐ貴様のその首をねじりとり、身体を切り刻み豚の餌にしてやりたいぞ」
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