閑話5

ラディッツのこととか通してカリグラは警戒していても、もう1人のカリグラの器…月鬼のことを忘れかけていた。
ぐっ、と歯を食いしばりそれはっその通りねと言葉を返す。
「…いくら皇嵐の部下だから、と調子に乗るなきさまらのせいで俺のラディッツがくだらん事に巻き添えも食らったのだからな」
「カリグラ、じゃが皇嵐様の長女は自ら入ったじゃろ」その発言にギロリ、と剣顔負けの鋭さを向ける。老界王神はその瞳にたじろぎながらも話し続けた。
「お主がしてきたことの大きさ…、それはよく分かっておるはずじゃ。お主は愚鈍でもなく単純な暴君でもないッ!、じゃから破壊神ビルス様も信頼を寄せている」そう、力の大会などの時にもポツリと話した言葉にそれは感じ取られた。
『カリグラなら、間違うことなく次のことへとやるだろうねー…』星の生存、そして宇宙のあり方というものに。なんならば、面白くないからと全王に対して意見を言うのかもしれない。
「それだからなんだと言うのだ、やつの娘が来てくれて楽しくなりはする……そこは認めよう。だが、ヴァドの件はお前たちでどうにかやれ」部下なのだろ?、お前たちのとカリグラは淡々と述べた。
「(ラディッツの件のこと未だに怒っておるということか)」カリグラの器であったラディッツ…、このコントン都に来たものより冷酷でラディたちの父親。フリーザ軍の一味でもあったが、ターレスやカリーたちの幼なじみであの全ての原初たる黒王に一矢報いた男。
カリグラは彼を本当の孫のように可愛がっていた、故に傷つけたヴァドには激烈な怒りを持ち自ら出て彼を殺してみせたのだ。
跡形もなく、塵芥も残さず。怒りのまままるでそこには物一つ草木もなかったかのように烈火のごとき怒りで。
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