閑話5

自分が皇嵐を条件に出し、カリグラに交渉したことは紛れもない事実だ。半身だろうとカリグラがその気になれば、この世界は愚か時空諸共なくなることもわかっている。
だからこそ警戒しているのだ、彼のことも残りのカリグラのことも。
「…仮にその俺だとしてだ、なぜヴァドを殺したかは気にならんか」
「自分だからわかるでしょ」
「……さあな、お生憎様俺は簡単にわかる遊戯はすきではなくてな。どうしたものか、とは思うぞ…だがそうだな若造が居るから何かしらやろうとしてではないかとおもうが」
「若造…、もしかしてラディッツの双子みたいにいた」
「月鬼だ、俺の親友カリギュラの世界にいたやつだ」己の若い頃にそっくりな、残忍酷薄な性格の男。無冠の王とも呼んでいいだろう、ラディッツとは違い戦闘能力にも恵まれていたが。
だが代わりに、己と同じ業を背負わされ生きてきた男。
「("俺"が連れてきた時は驚いたが…)」月鬼はラディッツより早く死ぬことになる、それは何となくわかっていた。短気な黒王らしく、無様にそして残酷に殺すだろうと。まさか親と共に心中とはこりゃ参ったとなったが。
だが、あそこの己は何を思ったか此方へと連れてきた。
オマケに力も教え、協力し従わせて。月鬼も月鬼でやられっぱなしは性にあわんとラディッツを助けようと奮闘した。
結果はこのとおり失敗したが、奴らのもあってかなんの因果か自分までも目覚めた。
「…えっと、つまり私達は彼にも警戒しないとという事かしら」トワとミラだけではなく、少なくともカリグラクラスどころかカリグラ本人が来る可能性があると。
「もしかしたら、な」己も奴らが何をするかによってはそちらだな。
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