とある2人の話

「ぐふっ!?」メリメリっ、とめり込んだような音が聞こえたと思った時にはすでにおそく月鬼が蹴り上げた先へと来て弾丸のようなはやさで蹴り落としてきた。
地割れの音が響き渡ると同時に星の火山活動が活性化し始める。月鬼の攻撃の深さにより地震がおきはじめたのだ。
「月鬼様…! 」さすがです、と翼は恍惚的な顔で彼を見る。国重の方はいやこれかなりのヤラカシでしょ!と突っ込みながらも結界を貼りどうに自分たちだけでも消されないようにとした。
「……どうした、ヴァド。俺にまだあの能力使わんのか」気のせいだろうか、心做しか先程の彼の荒々しい声から一転して落ち着き払い淡々とした声になったのは。それこそ、カリグラの冷たくも響く鋭い声に似てきている。
口調もだ。
「ッがハッ…!」おそらく使っても今の彼には効かない、あれは魂や身体の隙をつくようなものだから。
今の月鬼には、その隙すらない。
「まさに鬼子だな…!、あの男。カリグラの器め」あのラディッツとは違う異様な雰囲気、たしかに彼ら二人が闇と影そのようなものを持ってるようにも感じるが…。この男月鬼は、カリグラの深淵の闇だ。生前見たあの男の目と同じものを持っている、ドンっっ!と空気を圧縮したようなものがぶつけられ吹き飛ぶ。
木々を倒し川を割いて、吹き飛ぶ中どうにかこらえて突撃する月鬼の攻撃を避けるために上空へとあがり気を練り上げ小さい気弾にして一点集中だと月鬼の頭を狙う。目にも止まらぬスピードで向かうが、月鬼はそれを見て指を鳴らし小さい黒い穴へと吸収させる。
「随分と面白い小細工をするでは無いか、ヴァド…」
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